追放ザマぁジャンルの研鑽について、また個人的対策案の成否に関する所感
例を挙げるまでもなく、『小説家になろう』にてランキングを席巻し続けている追放ザマぁ。
本エッセイは追放ものというジャンルをどのようにしてクオリティをあげるか、という主題の文章である。
クリエイター向けだが、読み専の方々も周知して頂ければ得になるかもしれない。
私が追放ザマぁを読む限り、多くの作品において改善の余地が大きくある、と考えたからこそ問題提起をしたい。
かつ自分なりに行った改善策の成否について、多分に自己批判を含んだ代物だ。
他のジャンルを書けという、身も蓋もない意見は置いて頂きたい。
趣向についての是非は、今回論じない。
あらゆる分野の小説が玉石混交なので、テンプレ憎しの意見は不要である。
序論として追放ザマぁを語る上で必要となる、なぜ楽しめるのかという本質について定義する。
憎い仇と同じコミュニティから追い出され、新天地にて成功し見返すという構図。
そこに復讐と成り上がりが絡めば、さらに爽快感が生じる。
あるいは婚約破棄といった流行りも、追放ザマぁと重なる部分があると指摘したい。
これらには承認欲求を満たすサクセスストーリーと復讐譚のハイブリッドという特色がある。
追放ザマぁとは簡潔にまとめれば、読めば『ムカつく奴を見返してスカッとする』構造なのだ。
古今東西の物語を要素分解すれば、こういった理不尽への憤りを解消するという形態をとる典型的小説は多い。
また追放ザマぁを現実に成し遂げた歴史的人物に支持が多いことも、人気の根拠を補強する。
自業自得の悪役を懲らしめる勧善懲悪要素も織り交ぜられるのだから、好評の理由も得心が行く。
厳しい社会情勢の中で、これらの物語を楽しみ。
あるいは自分への慰めにしていた老若男女を問わない社会集団が多かったからこそ、良質な作品は興隆し受け継がれてきた。
そしてそれは社会不安が広がる世界では、追放ザマぁのニーズは勢いを増していくと考察する。
誰もが所属コニュニティーから不当に理不尽な目に遭ったと感じることがなくなれば、退潮していくかもしれないが……
我々が生きている間はそうならないだろうと、残念ながら筆者は社会情勢を鑑みた結果、ほぼ確信している。
本論に移りたい。
追放ザマぁの構成には欠点がある。
『ザマぁ後に何をするのか』という問題だ。
小説という文章形態ではエンタメ性が最重要であり、どのように山場を作って盛り上げるということが、ザマぁ後の懸念となる。
読者の可処分時間の中で、どれだけコスパ・タイパが優れたエンタメを提供できるかということだ。
追放までにどのようなストーリーとなるか、追放後はどのように物語を締めるか。
序盤ですぐに追放ザマぁという物語の主題は終わったが、長編の体裁をとれるところまで話を続けてしまう。
カタルシスが解放された時点で、読書目的は果たされてしまっているのにだ。
これでは読後感がよくない。
言うまでもなく短編よりも、文字数が多い方が多様な角度から評価をされる。
長編という形態をとった方が、表現の幅と量が増えるというのは普遍的真理である。
追放ザマぁを扱いきれなかった最悪の場合は風呂敷を畳み切れず、なろうの闇に埋もれた作品も多いのではないか?
追放ものは自己投影できるかが重要であり、感情移入できる部分を特に強調するべきと指摘する読者も多いと予想する。
しかし趣味趣向はそれぞれであるし、読書の本旨たるエンタメ需要を満たしきれるかと言えば、そこは作者の腕となるのだ。
半端な報復では不完全燃焼となり。
成り上がれなければ衆望や財産は得られず、落ちぶれたまま。
リアル感がなければ作品への没入感は減じるだろう。
(恐らくほぼすべての作品テーマにおいて、作者の創作能力が最も重要となるので、この場では詳しく触れない)
そこで私が対策として考案したのが、連続追放という概念である。
自作の宣伝となるが、『間が悪いオッサン、追放されまくる。外れ職業『自宅警備員』とバカにされたが、魔法で自宅を建てて最強に。僕を信じて着いてきてくれた彼女たちのおかげで成功者へ。僕を追放した奴らは皆ヒドい目に遭いました。』
2023年10月24日から開始した当タイトルにおいて、追放ザマぁの流行に一石を投じることも意図して実践した。
本作では学園、会社、パーティ、ギルド、貴族社会など、あらゆる環境から追放されまくるのだ。
もちろんザマぁは必ず行い、その度に主人公は成り上がり続ける。
一発ネタだろうという指摘は否めない。
筆者なりに前述の問題への解決につながるアプローチをしたのだが、結果は自身の目で確かめて頂きたい。
実験要素を多分に含んでいたが、新たなるテンプレを作れるのではないかと、投稿当初は期待していた次第だ。
しかし予め想定していたが、連続追放システムにも欠点がある。
『ストレスが常に付き纏う』ということが挙げられる。
追放ザマぁは多様な形態をとるが、その本質は共通している。
ザマぁをすることで悪役よりも優位となり、直接的・間接的を問わずして自らの優越感を擽れるマウントをとるということである。
読者目線における注目するべきポイントとして、自尊心や爽快感を満たしたいがために、追放ザマぁを好むのだ。
それとザマぁ対象を気持ちよくボコボコにすることと、その悪人による追放からもたらされる不快感の比率が、読み続ける決定点であると感じる。
追放ザマぁ物の冒頭部に出来る限りストレス要素を詰め込み、追放後は主人公がずっと幸せになる傾向なのはそういうことだ。
そこで物語を通してストレス要素を加え続ければ、本末転倒ではないかと言われてしまえば耳が痛い。
反省点としてはノンストレスなエンタメ要素を取捨選択していくことが、最大の解決法なのだという筆者なりの理解をした。
(個人的には追放ザマぁのあとにはスローライフ、恋愛、あるいはエロ。
お仕事ものなどのエッセンスを含んだものが、合うのではないかと感じる。
物語のテーマをもう一つ二つ講じることも、対策になるだろう。
また作品別に追放ザマぁ集でも、短編にて大量に描くことなどだろうか。
※念を押すがあくまで個人的所感なので、成功データなどは集める気はない)
結論として、以上の反省点を踏まえて追放ザマぁを描けば、違和感なく楽しみながら完読できる小説となる可能性が高いとまとめたい。
また新たな追放ザマぁテンプレが生まれれば、更なるジャンルの質の向上につながるのではと考える。
読者諸氏らにも最高の追放ザマぁとはなにか、伺いたい。
本稿で検討しきれなかったことして、追放ザマぁの長編における成功例に関する研究が挙げられるからだ。
失敗例だけでなく、成功例の分析は言うまでもなく必須である。
よって追放ザマぁの最高の具体例と、その成功要因を共有していくことができれば、追放ものの研鑽につながるのではと提起したい。
追放ザマぁへの好悪に関わらず、本エッセイの指摘事項について共通理解が深まれば、好みの作品が生まれる可能性が高まるからだ。
それが各創作者の成長と、読者の充実した読書ライフに繋がれるのであれば、筆者も一読者として幸いである。
本稿が少しでも小説界の発展につながればと願う。
本作の論理には限界点が山ほど存在しますが、問題ございません。
拙作の宣伝と、有識者からの添削を目論んでいることが執筆目的だからです。
私自身が追放ザマぁジャンルの理解は浅く、その神髄を模索中であり、是非持論をご教授頂ければ幸いです。
ひだまりのねこさん、企画主催ありがとうございました!!!!!!!!!
本作で紹介した 「間が悪いオッサン、追放されまくる。外れ職業自宅警備員とバカにされたが、魔法で自宅を建てて最強に。僕を信じて着いてきてくれた彼女たちのおかげで成功者へ。僕を追放したやつらは皆ヒドイ目に遭いました。」
従来の追放ものの弱点を完全補完した、連続主人公追放系です。
完結保証&毎日投稿の約35万字250話。
2023年10月24日より、連続投稿してます。
喜ばしいことに、≪2023.10.25 日間ハイファンタジー〔ファンタジー〕ランキング 53位≫
≪2023.10.25 日間総合ランキング 257位≫ を獲得しました。
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