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夏のホラー2023『帰り道』

暗闇の中で

作者: 家紋 武範

 美帆は一人、会社を出て帰宅の途についた。残業で時刻は23時を指し、早く帰って寝たかったので急いでいた。


 しかし丁度の雨で、傘をさして僅かな街頭の灯りの下、水溜まりのない場所を選びながらの急ぎ足だった。


 ──その時だった。


 雷鳴の中、街中の灯りが消える。雷による停電であろう。

 空には雨雲、ビルの影で一切の光がない。車のヘッドライトが遠くの通りに見えたがそれだけだ。




 そう言う時こそ、他の神経が過敏になる。なぜかゾッとして鳥肌がたった。




 なにかがいる──。




 美帆はさしている傘の持ち手を前に向け、自分の前をそっと横薙ぎにした。



 ホッ。何もない。



 少しばかり安心した美帆は、今度は大きく左から右へと横薙ぎにする。



 やはり。何もない。



 自分の臆病さから、なにかいると思い込んでしまったのだと苦笑した。肩が少し濡れてしまったなと思いながら、二、三歩進んだ。

 そして思い立って、また左から右へと傘を横薙ぎにした。今度は背中までだ。


 何もないと思いながら遊びのように背中まで傘を回すと、バサリと音がして何かに当たった。


 美帆は振り向けなかった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] シチュエーションがありありと想像出来て、一気に引き込まれます(・_・; 余白を残した終わり方が後引く恐怖を生んでますよね‥‥
[良い点] 一体何があたったのでしょうか。続きが気になります。 読んでいて、その光景が目に浮かぶようで、怖かったです。
[良い点] 動きを想像しつつ、自分でも同じように動いてみましたw ……これは確かに怖い! 現実にもありそうな怖さがぞくっと来ます。
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