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「ちょっと待ちなさい!」


 俺が踵を返し、街に行こうとしていたところで声がかかった。

 少女が俺に発したものだった。


「どうして私を見逃すの? 私は見逃されるようなことはしていない。つい先程まであなたに殺される運命だったはず。違った?」


 少女は若干語気を荒らげ俺に問うてくる。

 はぁ、やれやれといったところだな。


「自分が助かったんだからそれでよくない? なんでそんなに突っかかってくるんだよ。もう俺とおまえの関係は終わったんだよ。俺のことなんか忘れて今まで通り普通に生きろよ」


「できるわけないでしょ! なんで殺されないのか、いや、何故殺さないのかその理由を知らない限り、私は私を許せない」


「やれやれ、とんだじゃじゃ馬娘だな。そんなにわがままじゃ、将来がいろいろと思いやられるぜ。俺が殺さない理由だが、それはさっき言ったことと同じ理由だ。あんたは俺とは関係ない。関わる意味がないから、関わらない、以上だ。でもこれ以上君が絡んでくるというのであれば、流石に面倒くさくなる可能性はあるから、その際は普通に殺そうと思うよ。それがいやならもう黙っていてくれないか」


「……私は、私は強くならないといけないの」


 少女は独白を始めた。

 はぁ、なんなんだよ。


「私は強さを求めてる。強さだけが全て、強くなければ、生きている価値はない。だからこそこの世の頂点に上り詰めようと頑張ってきた。強い魔物を適当に殺して回ってたら、いつの間にか周囲に信頼されるようになって、気づいたときには勇者候補になってて……結局勇者になったころには正直敵はいなくなってた。そう、あの頃の気持ちをすっかり忘れていたみたい。でもそれをついさっき、いや、今思い出したわ」


 少女の目は優しいものだった。

 こんな目ができるんだと少し驚いてしまった。


「だからあなたのことがもっと知りたい。あなたの強さの源は一体何?」


「魔法だね。魔法が最強だから、強いんだと思うよ」


「その魔法はどこで学んだの!? どの流派?」


「それは簡単には教えられないな。特別な人に授かったものだからね。というかマジでなんなんだよ、もう帰って貰っていいか?」


「わかったわ。じゃあ私はあなたのもとに付いていく。これで帰ったということになるでしょ」


「何を言っているんだ君は。ちょっと言っている意味がわからないんだけど」


「別になんでもない話だと思うわよ。帰ってくれとあなたは言った。その帰る場所というのは私が決めるべきことでしょ? そこに対して口出しされるいわれはないと思うんだけど、なにか反論があるわけ?」


「いや、えっと俺のもとについてくるって言った? 俺の後ろについてくるってこと?」


「そうよ。あなたの強さを間近に感じで、そこからあなたの考え、知識、技を盗むわ」


「そんな面倒くさいことやめてくれよ。邪魔なだけじゃないか」


「まぁもちろん私もそんなに強情ではないわ。もしあれだというのであればあなたにだって相応のメリットを用意することだってできる」


「メリット?」


「私はこう見えても勇者でいろいろ知ってる。過去の勇者の記憶なんかも聖剣を通じて引き継いでる。つまりめちゃくちゃ物知りなわけよ。その辺を必要な時に共有してあげてもいいわ」


「なんだよそれ、つまり歩く辞書ってわけか? そんなものいらないよ。アシスタントは間に合ってる」


 と言ったあとで、俺はこの世界について何も知らないことに気が付いた。それはそうだ、さっき転生してきたばっかりなんだから。ああ、なんとなく一人で生きていく気でいたけれど、それはそれで不安も大きいよな。まぁ大体は魔法でなんとかなるんだろうけど、ぱっと聞ける説明役みたいなのがいても損はないのかな。しかも女の子とあって、前世では女の子を隣にはべらせて歩くなんて機会まったくなかったし、一回どんなものか経験してみるのも案外悪くないのかもしれないな。ていうかもうはべらせるしかないでしょ。ああ、アホだな俺、何を考えてるんだか。こんな感情表に出すわけにはいかないから、何も考えなかったことにしよっと。俺気持ち悪すぎる。


「そこをなんとか、ほら、もしあれだったら高級なお店とかにもつれていってあげたり」


「はぁ、仕方ないな。じゃあお試しということで雇ってやるよ。とりあえず数日間様子を見て、駄目だとおもったら即解雇。これでどうだ?」


「数日間ってそんなものじゃ私のポテンシャルを十分に伝えきることはできないわ。せめて五年とかにしなさい」


「長すぎだろアホか。最高でも一ヶ月とかだ」


「じゃあ一ヶ月でいいわよ」


「……なんかハメられた?」


「じゃあとりあえず付いていくから、なにかしなさい。というかさっきの魔法をもう一回見せて貰える? あれ始めて見たし」


 俺はなぜかひょっこり出会った勇者に同行をせがまれてしまった。

 勢いで了承しちゃったけどこれ大丈夫なのかな。まぁ俺は最強だからなにか問題が起こったとしても地底はなんとかなるだろ。はぁ、とりあえずお腹空いてきたからご飯食べたいなぁ。


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