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 俺が感知したのは人間ではなく、大量のコウモリたちだった。

 探知魔法の設定がいささか甘かったようだ。


 あーあ、そういうことかよ、こりゃとんだ取り越し苦労だな。今度からは人間だけを感知するようにしないと。


 そんなことを考えているうちに、コウモリたちは俺へと一斉に襲いかかってきていた。

 獲物と認識したのだろうか。

 恐らく地面に転がっているのは他の生き物の死体ってところか? いや、こいつらの糞尿も混じってたりするんだろうな。

 はぁ、こんなところに居座るのはもうごめんだぜ。


「アイスワールド!!」


 俺は適当に魔法を発動させた。

 もう魔法を唱えるときのコツは大分掴んできている。

 イメージしたものを、そのまま現実に顕現させるような感覚だ。


 得てして俺の魔法は発動した。

 俺の周囲一帯、というよりこの広場全体を、凍てつくような氷が支配する。


 周囲の温度が急激に下がり、一瞬で氷の世界が誕生した。

 北極もさながらも超寒い世界の完成だ。


「さむすぎ!」


 俺は自分の周囲だけ温まるような魔法を使った。

 暖かくなった。


「寒かった…………おお……まるで芸術」


 完成した景色を見てみれば、コウモリたちは空を飛んだままの姿勢で凍ってしまっていた。

 地面や壁、天井をはじめことごとくに張り巡らされた氷塊の餌食となり、身動き一つ取れないほどに固まってしまっているのだ。


「ま、君たちは終わりってことさ」


 これだけの厚さの氷に閉ざされれば、抜け出せる術はもはやないだろう。

 まぁ氷漬けにしただけなので、もしかしたらまだ生きている個体もいるのかもしれない。が、氷に体温を奪われたり、それでなくとも栄養を何一つ補給できないわけなのでいつかは死ぬ。この氷が完全に溶ける頃には生きているものはいないだろう。


「まぁ別に生きて貰っても一向にかまわないんだけどね。俺に危害が及ぶわけでもないし。じゃあこんなところもう抜けようかなっと……」


 俺は先程いた場所に瞬時に戻れないかと思い想像してみる。




 ――シュン。




 景色が変わった。

 周囲にはみすぼらしい家の数々があった。

 先程壊滅させたばかりの村に戻ってきたのだ。


「すごすぎ、これ瞬間移動だろ? こんなこともできるのかよ」


 これができればいよいよ何でもありな気がしてくる。

 最強という以外になんと言えばいいというのだろうか。俺には思いつかない。


「まったく、ホント余計な時間を食わされたな。何の時間だったんだよ、コウモリと戯れたところで何も起こらねぇよ」


 だがこういうミスが俺を強くすると思えばいいか。

 探知魔法は今後こういうことがないよう、かなり正確に設定した方が良さそうだな。


「まぁもう必要ないけどな。俺には瞬間移動という最強の魔法があるからな。よし、それじゃあどこかの街まで一気にワープだ!」


 俺は魔法を発動させた。


 ……が、何も起きなかった。


「は? どういうことだよ。もう一度だ!」


 発動させる。

 無理だった。何も起こらない。


「さっきの洞窟に戻れ!」


 寒い。

 周囲の景色が一瞬で書き換わり、氷漬けになったコウモリたちのオブジェが並んでいた。

 無意識に暖かくなる魔法を解いていたせいか普通に寒い、凍てつきそうだ。


 慌てて元いた、壊滅させた村に戻ってくる。


「どういうことだ……? もしかして場所を正確にイメージできないと無理なのか?」


 俺は最初に転生した草原のど真ん中を想像し瞬間移動を唱える。

 するとワープできた。

 転生を果たし目を覚ましたときの光景と同じ景色だ。


「やはりそういうことなんだな。つまり移動する場所を明確に知っておかないと無理ってわけか」


 俺の魔法にも弱点があったということだ。

 まぁ考えてみれば、どこかの街にワープしろとかいう意向を、誰が処理するのかという話だ。街といってもいろいろありすぎるし、人間がたくさん住み着いているから街と呼ばれているだけで、本来この世界に街という場所があったわけでもない。街という定義なんて曖昧なもので、考えれば無理な話かもしれなかった。


「じゃあ地点を指定さえすれば行ったことがなくてもワープできるんじゃないか…………うん?」


 ふと天空が光ったのが分かった。

 それはまるで太陽圏を突き抜けてくる隕石のようだと思った。


 だが途中で気づいたがそれはこちらに向かってきている。


 やがてそれは俺の目の前で凄い音を立て着地した。

 盛大な砂煙が舞い上がる。



 何がなんだか分からずに呆然としていると、必然的に時が経過し、砂煙が晴れた。

 そこにあったものは、想像と殆ど違わずに、石の塊だった。


 だが石と言えど、シルバーだ。ギンギンだ。ギンギラギンのギンギラギン。超ギンギラギンのギンギラ音頭だ。そのくらい綺麗で美しく、巨大宝石と呼んで差し支えない石だった。


 やがてその石の一部がパカリと空いた。

 中から一人の人間が出てきた。


 白いローブを身にまとった女だ。


 と言っても年齢はまだ二十歳に満たないくらいで、幼さの残る顔立ちだ。

 要するに高校生である俺と同じくらいの歳に思えた。


 そして一人かと思いきや、その後ろから続々と人間が現れる。

 少女を入れて、計五人だった。


 少女が先陣を切り、言った。


「はじめまして。私たちは勇者パーティーよ。悪を滅ぼしに来たわ」



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