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ひとまず、魔法の強さを認識することができた俺。
こんなに魔法を使えるなんてマジで夢みたいだな、異世界転生最高だわ。
「よし、こうなったら世界最強になるしかないな」
俺は調子に乗ってついそんなことを思ってしまう。
まぁ魔族を全滅させるのが最終目標だし、どのみち最強にはなってるのかな?
「この少女がいたってことは、近くに村があるということなのだろうか」
そう考えるのが堅いだろう。
もしくは少女が物凄い移動能力の持ち主で、数キロ単位を一瞬で高速移動できるとかなら話は別かもしれないが、そんなことそうそうあるわけないし、普通に考えるなら村が近くにあると考えてもいいのではないだろうか。
「その村に行って戦闘経験を積むというのは一つの手だよな。流石に村単位となれば強いやつの一人や二人いるだろうし、全然ありな作戦ですよね」
俺はそうすることにした。
けれど少女に村の位置を聞いていたわけでもないので、具体的な場所まではわからない。
「うーん、どうしようか…………魔法でどうにかならないか?」
そうだ、俺は魔法を使える。
となれば位置を特定する系の魔法も使用可能なのではないだろうか。
「やってみよう、とう!」
俺は周囲を探る魔法を使った。
すると脳内に周囲の情報――地形を始めとした、動植物の息が流れ込んできた。
すごい……何だこの感覚。めちゃくちゃ面白いな。その辺の地図を読むよりもよほど面白いよ。すごい、世界最強の地図が俺の頭の中にある。これは興奮せざるを得ないな。
「でも余計な情報はあんまりいらないな。とりあえず生物の位置情報だけわかればいいんだけど」
そのように脳内で唱えてみると、生き物の場所だけが脳内マップに赤く表示されるようになった。
「これはきたな。うーん、ポツポツと赤い点はあるけど、近い所に五十個くらいがいっぺんに固まってる場所があるぞ。大体三百メートルくらい先かな」
今現在、脳内マップに半径一キロメートルくらいまで表示させているのだが、その中に明らかに生体反応が纏まっている箇所があった。
ここが少女出身の村なのではないだろうか。
「行ってやるぞい」
俺は身体能力を強化した。
その状態で一気に走る。
すると陸上選手も顔負けの速さで、村と思われるまで到達した。体感十秒もかかってないな。早すぎるな。
その村は簡素な塀に囲まれた、かなり原始的な感じの風貌だった。
まぁ村ってんだからこんなもんか。もしかしたらホモ・サピエンスが住んでるんじゃないか。そんなわけないか。
「ともかく攻めてみよう」
俺は正面から堂々と歩み寄った。
塀の近くに少し高い見張り台のような建築物があり、その上に一人男が立っているようだった。
当然俺に気づき、声をあげた。
「待て!」
その言葉を発して少し経ち、男は見張り台から消えたかと思うと、俺の方に歩いてきた。
「見たところ一人か、我が村に何の用だ?」
片手に槍を携え、そう尋ねてくる。
まぁ槍の矛先は俺の方には向いてないし、攻撃的というよりは一応警戒しているといった感じなんだろうけどな。
「でもさよなら」
俺は風の剣を瞬時に作り出し、男を斬りつけた。
男は何か一瞬反応する素振りを見せたが、何もできずに俺に袈裟懸けに斬り伏せられた。
うーん、ちょっと距離があって二人にすることはできなかったけど、それでも当たった部分は高級包丁のごとくすっぱりと斬れてるな。
男は崩れた後で、ピクリとも動いていない。やはり即死したようだ。
「よし、この調子でどんどん殺っていこう!」
「え……」
すると少し離れたところから、漏れるような声が聞こえた。
声のした村の入り口付近に目を向けると、一人の女が口を覆い、信じられないといった表情で固まっているのが分かった。一応様子を見に来たといったところかな。
「お前もこうだあああああ!」
俺は女にボディブローを叩き込んだ。
身体能力を強化したので、凄い速さで近づいたように見えたはずだ。
女は口から血を吐きながら、くの字に吹っ飛んでいった。吹っ飛んだ先の家に突っ込み、すごい物音がなる。あーあ、あれはもう無事では済まないよな。まぁ無事で済ますつもりも微塵もなかったけど。
「なに!?」
「な、なんだ!?」
すると徐々に俺の行いが村に浸透し始めたのか村人たちが慌て始めた。
まぁ普通はそうだよね。これだけやれば、流石に気づかれるよね。
誰も逃さないよ。
その後、俺は身体能力を強化し、村人を風の剣で斬り裂きまくった。
殆どの村人は、男女問わず為す術なく倒れていった。
唯一、俺に挑んできたやつがいたのだが、そいつだけ凄く立派な剣を持ち、簡単な鎧も着用していた。
剣の構え方もなっていたので、ちょっとどうかと思ったが、まぁ結果は俺の身体能力を強化した動きに全くついてこれずに、普通に風の剣で瞬殺だった。
そして流石にこの事態になり、村から脱出し逃げようとする者もいた。
なぜ分かったかと言えば、探知魔法で村人の位置を見つけ出し襲っていたからだ。よって離れていく者も、村の中にとどまっている者と同じくらいの容易さで屠りさることができた。ただの村人の走力など、今の俺の身体能力に比べればあってないようなものだ。
そうして大体十分もかからないくらいだろうか。
俺はその村の村人全員を殲滅させてしまったのだった。