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 俺は少女とともに先程の街にワープした。

 さっきは道路のど真ん中にワープして目立ってしまったので、今回は裏路地気味の細い道にワープしてみた。周囲に人はいなかった。


「す、すごい……ほんとに転移できてる……」


 少女は驚きと感嘆の表情で唸っている。


「まぁね」


「これだけの魔法、魔力消費量も相当なんじゃないの?」


「魔力消費……? さぁ、気にしたことないけどな」


 どういうことだろう。魔力というのにも残量があるのだろうか。

 なにか意識できる方法があるのかな。もしかしたら途中で枯渇して魔力使えないってことにもなるのか? あまり連発で魔法使うもんじゃないのかもな。


「どういうことなの……」


「ともかく街にはついたから、ここから行動していこう」


「そう言えばマナト、しきりに街に行くって言ってたけど、何を目的にしてるわけ?」


「それはもちろん生活基盤を整えることさ。その上で……えっとー……」


 俺は最終的な目標である魔族根絶について少女に言おうか迷った。

 別に言っても構わないと思うが、ただでさえ変人気味な目で見られているにも関わらず、そんな壮大なことを言ってしまえばさらに浮いてしまう気がした。さらには俺が地球から転生してきた転生者というのも流れで告げる必要が出てくるかもしれない。そうなれば本当に頭がおかしいやつとして置かれてしまうだろう。

 まぁ別に俺としてはたかが女一人にどう思われようが構わないが、わざわざ自分から嫌われにいく必要もない。俺は黙っておくことにした。


「えーと、とりあえず自分の力を試したいんだよ。どこまで通用するのかっていうのをね」


「そうなのね。まぁそれならよりあなたの力を見れる機会も出てくるってことだから私としても歓迎よ。というか生活基盤ってなんのこと?」


「え、生活基盤は生活基盤だよ。戦闘ばっかしててあんまり頭良くないとかなのか?」


「私は頭脳も明晰よ。超名門の騎士学校に通ってたときも学年主席で卒業したんだから。私が疑問に思ってるのは、生活について今更何を整える必要があるかということよ。今までだって生活してきたわけでしょ?」


 ああ、まぁ考えてみれば当然の疑問か。俺からしたらまだこの世界に来たばっかりで寝る場所もないとかいう状態だけど、普通はそんなことないもんな。


「まぁ具体的に言えばお金を持ってないんだ。だからお金を稼いで、食べ物を食べて寝床を確保する必要があるんだよ」


「え? それだけの戦闘力があってお金がないってどういうこと? 稼いだお金はドブにでも投げ捨ててるの?」


「俺がそんなまねするわけないだろ。単純に遠い場所からきたから世間で有効な知識とか物とかを何も持ってないんだ」


「ああ、そういうことね。まぁこんな力を持つ人間がいるってなれば当然話題にもなるだろうし、それがなかったってことは今まで鳴りを潜めてたってことになるわけね。納得したわ。確かにリジュラ様の予言もここ最近のものだったし」


「ああ、さっきの婆さんか」


「そういえばあの予言では街を滅ぼすとか言ってたけど、そのつもりだってこと?」


 そんなことを尋ねてきた。

 何いってんだ。俺がそんなことするわけがないだろ。あの婆さん訳わかってないよ絶対。


「いやいや、なんで俺がそんなヤバいことしなきゃならないんだ。大体誰だよあの婆さん。適当なこと言って俺を貶めようとしてただけなんだろ」


「まぁ予言は外れることもあるからなんとも言えないけど……」


「ともかく何をするにもまずはお金だ。お金があれば食べ物も買えるし、宿にも泊まれる」


「お金がほしいって、そんな俗世なこと言うのね」


「別にあんたにどうこう言われる筋合いはないな。俺は俺で必死に生きてるんだ」


「あんたっていうの止めなさい。私はエリザって呼んでって言ったわよね?」


「めんどくさい奴だな。呼び名なんてなんだって……まぁ、エリザには関係ないことだ」


 俺が反論しようとしたら物凄い顔をしたので、逆に面倒くさいくならないうちに翻しておいた。俺の危機管理本能がそうした方がいいと告げてきたのだ。


「お金なんかがほしいんだったら私が持ってるわよ。私物もそうだけど、機関に言えば資金としていくらでもくれると思うし」


「なんだよその夢がない話は。俺が頑張って稼ごうとしてるところにその情報はないだろ。はぁ、なんかアレだけどまぁその話はなかったことにしてくれ。結局エリザがいなくなってからは一人で稼いでかないといけないわけだから、後から生活基盤づくりに励むか今励むかの違いでしかない」


「いなくなってから、ってどこかで私を厄介払いするってこと?」


「そんなことは言ってないだろ。お互いに寿命はあるわけで、どこかでは分かれるタイミングというのもあるだろ。これは必然なことだ」


「私に寿命なんてほぼないわよ。聖剣の力を持ったものの肉体年齢は維持されるの。まぁ少しは削られていくらしいんだけどね」


「なんだそれ、無敵じゃんか。だったら今エリザの年齢はとんでもなくババアだってこともあるわけだよな?」


「ババアってなによ! 私はまだ十八歳よ。勇者にだって二年前に選ばれたばっかりなんだから」


 少女は食って掛かるように反論してきた。

 ああ、女性にババアとか言っちゃだめなんだな。すごく学びました。お金稼ごっと。


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