愛と裏切り
人は考える。
本が落ちていた。
そう、一冊の本が……。
傍に女がいた。
女は本を手に取り開いた。
そして女は本を読みこう語る……。
「愛とは何か?」
「愛とは他の幸せを願うことである。」
「であるならば裏切られたと言うものたちには
愛があったのか?」
「愛があったのなら潔く諦めるべきではないの
か?」
「にもかかわらず裏切られたというのは愛してい
たのではなく、愛して欲しかっただけじゃな
いのか?」
「では裏切りとは何か?」
「他の言動が人の願いに反したことだろう。」
「だが、人は日常的に裏切ってるのではないだろ
うか?」
「本当に全て願い通りになっているのだろう
か?」
「本当は妥協してるだけではないか?」
「であるならば愛とは、真実の愛とはこの世の中
にあるのだろうか?」
「だがしかし、他のために命を、全てをかけられ
るものがいるのもまた事実。」
「それこそが本当の愛と言えるだろう。」
「だが、それは同時に相手を裏切ってるのでない
か?」
「相手は無事でいることを願うのではないだろう
か?」
「愛があるゆえに。」
女はそこで言葉を切り本を閉じる。
そしてそのまま本を持ちそのままその場を去っていった。