1/2
正義と罪 と善悪
人は考える。
本が落ちていた。
そう、一冊の本が……。
傍に男がいた。
男は本を手に取り開いた。
そして男は本を読みこう語る……。
「正義とはなにか。」
「人は言う正義とは善であると。」
「正義の反対は悪であると。」
「だが、本当にそうだろうか?」
「いや違う。」
「正義とは善であり、悪なのだ。
それは罪にも言えることだ。」
「正義の反対とは罪なのだ。」
「では善とは、悪とはなにか。」
「正義とは、罪とはなにか。」
「善とは他を助けること。」
「悪とは他を傷つけること。」
「正義とは多数が認めたもの。」
「罪とは多数に認められなかったもの。」
「人は生き続ける限り他を助け、傷つける。
善人であり悪人なのだ。」
「人は他に認められるために他を助け続け。
他を認められないがために他を傷つけ続ける。」
「それを多くのものが認めた時、人は英雄と呼ばれ、
認められなかったときは罪人と呼ばれるのだ。」
男はそこで言葉を切り本を閉じる。
そしてそのまま本を持ちそのままその場を去っていった。