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29 聖女さん、対峙

「シルヴィ。ステラ。ちょっと私上の方見て来るわ。今なら撃ってきた奴の所に辿り着けるかもしれない」


「俺も……は止めた方が良いか。周り燃えるかもしれねえしな」


「私は飛べないんでどっちにしてもお留守番ですね」


 二人共、今魔術を放ってきた誰かをどうにかするという考えは一致していたみたいで、飛ぼうとする私を止める声は上がらない。

 だったらさっさと突っ込もう。


「じゃあ互いに何かあったら上空にでも合図になる魔術打ち上げるって形で良い?」


「は、はい!」


「気を付けろよ。向うの奴、こっちの結界に傷付ける程度には強いっぽいからな」


「分かってる」


 その程度には強いんだから、最低限その程度以上の警戒はしないと。

 ……だからこそ迅速に行くんだ。


「じゃあ行ってきます」


 軽く助走を付けた後、足元に風の塊を作り出して踏み抜き、上空へと飛び立つ。

 そして両手から風を噴出させて更に加速。

 撃ってきた方角へ最大出力で飛ぶ。


 ……さて、まだそこにいるかな?


 遠距離で不意打ちを仕掛けたら、基本はその場に留まらない筈。

 だって居場所がバレるから。

 私のようにうまく防いだ相手に反撃される。


 だからとにかく、速攻で距離を詰める。

 そしてある程度距離を詰めれば、探し出せる。

 それ程効果範囲は広くないけど……さっき撃ち込まれた魔術と同質の反応を持つ人間を、そういう類いの魔術で探し出せる。


 まあここまで全部、狙撃に失敗した相手が場所を変えようとしている場合の話なんだけど。


「……アイツね」


 視界の先。

 やや開けた山道に、見るからに怪しい黒装束で仮面を付けた人間が立っている。

 背丈や肩幅とかを見る感じ男だと思う。

 ……どうやらこちらを迎え撃つみたいだ


 その証拠に、黒装束の男の背後には背丈の倍程の紫色の魔方陣が展開されている。

 ……闇属性の魔術。

 さっきの罠と同じ属性だ。


 そして男がこちらに手を向けた瞬間……魔方陣から魔術によって産み出された黒色の弾丸を雨のように射出してくる。

 それも……私から見ても十分速いと思う程の弾速で。

 正直ドラゴンの攻撃の比じゃないんだけど。


 どうする……避ける?

 いや、違う。


 主導権は私が握る。

 このレベルの攻撃が撃てる奴を自由にさせ続けたら面倒だから。

 その為に……このまま突っ込んで一発叩き込む!


 そして正面に一メートル程度の結界と、それと同時に弾道に合わせた無数の小型の結界を作り出す。


 1メートルサイズの結界に、目の前の男はヒビを入れた。

 その事実を考慮して、そして目の前で展開されている術式が射程と命中精度を削って手数を増やした物だとすれば、男の元に到達するまでに割られる可能性だって否定できない。


 だから大きめの結界は保険。

 

 この速度と物量だと全部は無理だけど、それでも本命の小型結界で一発一発を可能な限りクリアする。


 同一方向からの攻撃なら、多少雨みたいに降ってきても短時間ならある程度は止められる。

 その位の集中力は持たせる。


 そして結論、全体の5割はクリア。

 残りも目の前の保険で張った結界で受け止めきって無傷で到達する。


「な……!?」


 表情は見えないけど、多分驚いた表情を浮かべているだろうという事が察せられるような声を漏らす男の前へ。


「次はこっちの番だよ」


 そして推進力を乗せた拳を振るった。

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