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記憶ごと

一番大切な人だった。自覚もしていた。でもいえなかった。


「ばいばい、はるか、またあした」


それだけ言い残してあいつはいなくなった。


事故。飲酒運転。あいつは被害者で、車側は自転車にぶつかった車体が多少へこんだようだった。それだけだった。理不尽ってこういうことなんだと強くかみしめた。


それからわたしはあいつがいない日々を過ごさなきゃいけなくなった。

事故の前日までは想像し得なかった日々だった。

ずっとわたしのとなりにいたあいつはもうどこを探しても居なくて、慢心であいつを轢き殺したやつはこの世で生きてて、大切な人に会えて。


嫌いだ。


あいつのことが嫌いになった。


ねえ、わたしの目の前からいなくなるならあんたの記憶ごと消してよ。あんたがいたことも思い出させないで、こんな絶望味わわせないで。ずっとあんたのことが大切だって声に出せなかった罪悪感と後悔に苛まれなきゃいけないの、あんたの思い出があると。いっそ、わたしと出会わないで居たらよかったのに。


すきだよ、もう言えないのに思い出すたびに泣きそうなの、思い出すたびに溢れちゃうのにあんたを思い出すものばかりわたしの周りに置いてあるの。捨てても捨ててもあんたとの思い出が出てきちゃって、わたしの部屋からものがなくなっちゃうよ。


あんたの名前を思い出すだけで泣いちゃうんだから、もう、消えるなら全部消してってよ、これ以上わたしが泣かないで居られるようにしてよ、わたしが泣くとどうしていいかわかんなくなるくせに、わたしが泣くの嫌いだったくせに。


ばかじゃないの。


「しょう」


あんたを思い出すたびに覚えててよかったって思うわたしが馬鹿みたいじゃない。


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