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少年が「感情」を知るまでの話  作者: あんぱん
2/3

2話

結局、僕が学校に顔を出せたのは、事故から2日後だった。

幸い、僕には同じクラスだった人が周りにいたので、いわゆる「ぼっち」というものにはならずに済んだ。

ただ、それが必ずしもいいこととは限らないところがクラス分けの闇だろう。

いきなり、僕に突進してきて「大丈夫だった!?」とか言う女がクラスにいるのだ。

今のショックで傷が開いたりしそうである。

当の彼女は、1人の男の手でなだめられる。

男は僕に「わざとらしく驚いたような顔すんなよ。別に感じてないんだろ?」と言ってきた。

男は坂崎翔也、女は白石結月という。

2人は僕の幼馴染、と言っても僕からそんなに馴染んだ記憶はなく、実際は2人と1人みたいな感じだ。

だが、僕はこの2人に自分の「秘密」を話した。

この2人以外に話していない。


このふたりを中心に、しばらく僕の周りにはクラスのみんながたかっていたが、1人の声によって落ち着きを取り戻した。

僕らの担任、中野沙耶の「お知らせだー」という声と同時に、手招きによって促される形で女の子だ入ってくる。

あの日、あの時、あの場所で僕の目に焼き付いた顔だ。

「羽島玲乃です。皆さんよろしくお願いします。」

そう言って彼女は、見覚えのある笑顔を浮かべる。

先生の指示で、窓際から2列目の1番後ろの席、

すなわち僕の隣の席に着いた。

後で改めて言おうかとも思ったが、先に自己紹介をすることにした。

「矢島京介。よろしく。」傍から見たら素っ気なく聞こえるであろう僕の挨拶に、彼女は優しく「よろしくね。」と返し、「あのときはありがとう。」と付け足した。

やはり、彼女は紛れもなく、あの時の女の子だった。


始業式から日も浅く、まだ馴染んでいないであろうこのクラスは、放課後一人の少女を中心に盛り上がっていた。

当然、中心にいるのは転入生である羽島だった。

「どこから来たの?」とベタな質問から、「彼氏いるのー?」とか、いきなりぶっ飛んだことを聞くやつもいた。

僕も坂崎も白石も、興味が無いと言ったようにそそくさと帰りの支度を済ませる。

馴染んでいない、とは言ったものの、家も近く、僕は2人を信頼しているので、一緒に登下校するくらいの関係は続いている。

僕らの学校は徒歩圏内で、家に帰るまでに話題が途切れたことはなかった。

しかし、その日は途切れるはずもない話題が、さらに外からやってきた。

「あの…」と声をかけられ、立ち止まった僕らの後ろには、羽島玲乃が立っている。


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