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勇気をもって、異世界へ  作者: レイン
95/170

95 依頼前のご飯会に、異世界へ

 ジリーとジュシュ達が持ち帰ってきた情報によると、アンデッドモンスターの移動速度は徒歩の人間よりも少し遅い程度らしく、王都へ到着するのは早くても翌日のお昼になるとのことだった。

 これにより、緊急討伐依頼の開始は翌日のお昼となり、ギルド職員には翌日の日の出過ぎに集まるようにとだけ言われて解散となった。


「よし、じゃあ明日の元気を蓄えるためにもご飯食べに行くか!」


「やったぁぁぁぁぁ!」


 やはりポチには白パンだけでは全然足らず、お腹をグーグー鳴らして飛び跳ねながら喜んでいる。


「あの、ジリーさんとジュシュさんも、よければ御一緒にどうですか?」


 リーはご飯だ!と盛り上がっている蓮人とポチを置いて2人にそう問いかける。

 それにジリーとジュシュはどうする?というように顔を見合わせた。口を開くことなく意思疎通を行い、ジリーが代表して返事をする。


「はい、是非お願いします。

 ですがパーティーメンバーのケガの容態が気になるので今から様子を見てきます、なので先に行っててください」


「いえ、それくらいなら待っているので気にせず行ってきてください!」


 ジリーはそのリーの返事に一瞬考え込むがすぐに頷いた。


「ではお言葉に甘えて、すぐに行ってきます。

 ジュシュ、行こう!」


 そう言って2人は足早に医務室の方へと消えていった。

 こうして人が少なくなったギルドの中にポチの腹の虫の音が鳴り響くのだった。






 「お待たせしました」


 10分が経った頃だろうか、2人は帰ってきた。


「どうでしたか?」


「2人とも疲れてグッスリ眠っていましたが、命に別状はないようです」


「それは一安心ですね! じゃあ早速ご飯に行きましょうか!」


 リーはそんな2人を引っ張ってギルドの外へ連れ出すが、ジリーとジュシュの顔が少し暗いのを蓮人は見逃さなかった。

 だが蓮人はそれを尋ねることはせず、とりあえず3人の後ろに続き、お腹が空いて元気の無いポチの手を引っ張っていくのだった。


 ご飯会はいつもとは違って饒舌なリーによって話が尽きることなく楽しく過ごすことが出来たし、ジリーとジュシュがどんな人なのかも分かってきた。

 ジリーは何か自分から言葉を発するということは無いが尋ねられたことにはきちんと返答する人だったが、ジュシュはというと正真正銘の人見知りのようだ。それでもリーからの質問には頑張って答えていた。

 今回のご飯会通して、とりあえずではあるが2人とも良い人であるということは分かった。

 これならば明日の緊急討伐依頼の連携もなんとかなるだろう。蓮人がそんなことを考えているうちにご飯会はお開きとなった。

 翌日ギルドに日の出過ぎに集合ということにして本日は解散だ。


「2人とも、明日は一緒に頑張ろう!」


「はい、お願いします!」


「お、お願いします……!」


 蓮人のその言葉に2人は緊張しながらもやる気のある返事とお辞儀を返してきた。


「それでは失礼します」


 そう言って2人は夜にしては人の多い道へと消えていった。

 蓮人達はその後ろ姿が見えなくなるまで見ていた。


「蓮人さんはジリーさんとジュシュさんのこと、どう思いますか?」


「そうだな、まあ今日初めて会ったわけだし何とも言えないけど、いい子たちなんじゃないかな? 少なくとも、俺は背中を任せても大丈夫だと思ったよ」


 蓮人の返事にリーはホッと一息ついた。


「蓮人さんも同じ考えで良かったです、私もそう思いました! これなら明日からの緊急討伐依頼も何とかなりそうですね!

 よし、明日から頑張りましょう!」


 リーはいつになくやる気満々だ。


「おう、頑張ろうな! でもその元気は明日まで取っておいた方がいいぞ?」


「それもそうですね、じゃあ早く宿に戻って今日はもう休みましょう!」


 リーは蓮人の言葉にフフッと笑ってポチの手を引いて歩き出すが、蓮人はそれを慌てて引き止める。


「ちょっと待てよ!」


「どうかしましたか?」


「そっちは宿と逆方向だぞ」


 そう言われて顔を赤くしたリーは俯きながら戻ってきて止まった。

 どうやら道を忘れてしまったようで、案内して欲しいということなのだろう。


 (やっぱりリーはかわいい)


 そんなことを思いながら宿への道を歩いていくのだった。

読んで頂きありがとうございます!

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