94 パーティーが増えて、異世界へ
結局、このスケルトンの大群の討伐依頼は緊急討伐依頼となり、Cランク以上の冒険者パーティーは原則全員参加ということになった。
これはどういうことかというと、ズバリ蓮人がカッコイイことを言って皆の注目を浴びたのが恥ずかしいということである。
他の冒険者からすればこの依頼は緊急依頼になることは自明だったようだ。
そのことを後から知った蓮人は真っ赤な顔を隠すように机に突っ伏していた。
「蓮人さん、そろそろ起きてくださいよ! 知らなかったんですから仕方ないですって!
……それにとってもカッコよかったですよ?」
リーがそう声をかける。後半の方は声が小さく蓮人には届かなかった上にリーまで顔を真っ赤にしているが。
ポチだけは我関せずと大事に白パンをかじり続けている。
そうしてギルドの職員が緊急討伐依頼を出す間待っていたのだが、そんな3人に話しかけてくる2人がいた。
「あの、すいません」
向いた先には先程皆に向けて説明をしていたジリーとジュシュがいた。
「どうしたんだい? 何か用?」
蓮人はサッと気持ちを入れ替えて起き上がり尋ねる。
「私達も討伐依頼のパーティーに入れてください、お願いします!」
そういって2人からお辞儀をされる。
「え? でも2人はパーティー組んでるってさっき言ってなかったっけ?」
「確かにそうですが、パーティーの他の2人の傷が思っていたよりも深かったらしく、この緊急討伐依頼へは参加出来なくなったのです。しかしケガもない私達が黙って見ている訳にはいきません。
だからこうして他のパーティーに入れてもらおうと声をかけているのです」
ジリーは伏し目がちでそう答えるが、その言葉からは悔しさが滲み出ている。それを横目に蓮人はリーとポチへと顔を向けた。
リーはニッコリと蓮人へと微笑んだ。蓮人へと任せると言ってくれているようだ。
(それにしてもこの笑顔は反則だ……)
リーの笑顔に胸を撃ち抜かれた蓮人であるがそれをポーカーフェイスで何とか隠し通して今度はポチへと向ける。
相も変わらず白パンをかじり続けている。これも任せるという意思表示だと蓮人は受け取った。
そうして緊張した面持ちのジリーとジュシュに顔を向ける。
「よし、分かった。ホワイトストライプスはこの緊急討伐依頼の間、2人を迎え入れよう」
「「ありがとうございます!」」
2人はまた90度腰を折り曲げるお辞儀をするのだった。
「それでは改めまして、自己紹介をさせていただきます。私はジリーです。
私は攻撃があまり得意ではなく、この盾を使ってモンスターの攻撃を受けて隙を作ったりするのをしています。いわゆるタンクってやつですね」
「私はジュシュといいます。
私は水属性魔法を使って後ろからの支援や回復をしていました。ヒーラーってやつですね」
2人から簡単な自己紹介が行われた。
見た目の特徴でいうと、ジリーは背は小さめだが出ているところは出ており、目つきはキリッとしているタイプだ。アッシュがかった金髪をボブの長さに切り揃えている。
ジュシュは対称的に背は女の子の割と高く、スラッとしたモデル体型で、目はパッチリした二重である。ジリーと同じくアッシュがかった金髪をポニーテールにして括りあげている。
どうやら2人はジリーが姉、ジュシュが妹の姉妹らしい。髪の毛の色が全く同じであるのも納得だ。
「よろしくな、じゃあ俺達の自己紹介だな」
「いえ、それは知ってるのでいいですよ。蓮人さんにリーさん、ポチさんですよね?
国王陛下からのお話が会った時に、ホワイトストライプスの皆さんのことは見ていたので知ってますよ」
「そうか、じゃあ俺達の役割的なものだけ言っとこうか。俺がこの刀で敵の攻撃を捌きながら攻撃、ポチがその隙をついて一撃離脱での攻撃、リーは俺とポチの援護だな。
それに俺は火属性魔法、リーは水・風・光属性魔法の適性持ちだ」
かなり大雑把にではあるがホワイトストライプスの戦い方を説明する。
「さすがBランクパーティーなだけあってすごいですね!」
ジュシュから心の底からのお褒めを貰った。
「ありがとな。それで2人が入ったあとの連携についての話だけど、ジリーがその盾でタンク役、俺とポチで隙をついて攻撃、リーとジュシュがその援護って形でいいか?」
蓮人はそう話をまとめたが、全員異論はなくそう決定された。
「よし、じゃあ皆気合い入れて頑張ろう!」
こうして緊急討伐依頼が開始される。
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