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勇気をもって、異世界へ  作者: レイン
86/170

86 話し合いをして、異世界へ

 それからは特に問題が起こることなく、門が閉まる前にガサラへ到着することが出来た。しかし、全員怪我することなく到着出来たというのに表情が暗い。あのゴブリンを見た身としては仕方がないことではあるのだが。

 ひとまず、全員そのままの足でギルドへと向かい、ギルドマスターの部屋で話をすることになっているので、そのまま馬車で向かう。


 ギルドの中は今日も大盛況だ。依頼を終えた冒険者達が依頼の達成報告や素材を売ったりしている。

 久しぶりのギルドに蓮人は周りを見回すと、カウンターの中にレノがいるのを見つけた。忙しそうに冒険者達の相手をしている。

 そんな中、目ざとくも蓮人達がいるのを見つけたようで、こちらへ軽く手を降ってきたがそのまま仕事に戻る。

 蓮人とリーとポチもそれに手を振り返してそのまま2階のギルドマスターの部屋へ直行する。


 そのまま全員椅子に腰掛けたのだが、口を開くものは誰もいない。各々情報を整理するのに必死なようだ。沈黙が続く。

 その沈黙を破ったのは蓮人だ。


「村で襲われたあのモンスターに、帰り道のゴブリン、皆はどう思っている?

 俺とリー、オリビアは森にいた黒いローブの男が状況証拠的には怪しいと思っている」


 その話に、ギルドマスターも重い口を開く。


「まだなんとも言えないが、現状はあたいもそう思っている。他何か意見があるものはいるか?」


 ギルドマスターは見回して異論がある者がいないか探すがいないようだ。


「それでこれからはどうしたらいいんだ?」


「そこが難しいところだな。

 他にあのような黒い瘴気を出していたり、見た事のないモンスターに出会った冒険者がいないか呼びかけてみるしかないだろう。

 後は注意喚起をするくらいか」


「そうね、王都のギルドにもそんな感じの対処をするように伝えようかなと考えていたわ」


 ギルドマスターに続いてオリビアもそう話す。


「それじゃあ、あの黒いローブの男のことはどうするんだ?」


「それが難しいところだな……。

 怪しいのは確実なんだが、まだ実際に犯人なのかは分からないからギルドの規定的には指名手配などはどうすることも出来ないというのが本音だ」


「それは何とかならないのか? ほら、ギルドマスターだったりオリビアだったりの権力とかでさ」


 ギルドマスターとオリビアは考え込むのだが、やはり良い返事は返ってこなかった。


「それは出来ない。いくら権力があろうが独断でそれをすることは権力の乱用になる」


「そうか……」


 蓮人はリーが見ても分かるほど落ち込んでいる。


「とりあえず、今はどうしようもない以上あの黒い瘴気をもつモンスターの対処方法を考えるべきですよ。ね、蓮人さん?」


「あ、ああ。そうだな……」


 そうして話し合いは心ここにあらずといった蓮人を置いて進んでいく。


 結論としては、まず今回起こった出来事は他言無用であること。

 そして黒い瘴気をまとったモンスターへの注意喚起を行い、遭遇した際は近づかずギルドへと報告するように冒険者達に伝えることになった。

 また、黒いローブの男については現状は情報が足りずどうすることも出来ないので、冒険者達に見覚えがないか聞き込み調査がギルド職員から行われるようだ。


「これでいいな?」


 ギルドマスターが全員の顔を見回して確認をとるが、蓮人だけはそれに反応しない。


「蓮人、聞いてるのか?」


「あ、ああ。それでいいよ」


「ったく、しっかりしてくれよ。お前にはまだ王女様の護衛が残ってんだからよ」


「……気をつけます」


 そのやり取りの後、ギルドマスターは解散と告げて話し合いが終わった。

 蓮人はオリビアに続いて部屋を出る。今日も前回と同じく高級な宿屋へ一緒に泊まることになっている。

 そこへ向かう馬車の中、リーから尋ねられた。


「蓮人さん、一体どうしたんですか? 様子がおかしいですよ?」


 リーは蓮人の顔を覗き込むように問いかけてくる。

 蓮人は伝えてよいか迷うのだが、馬車の中にはリーにポチ、オリビアとアンしかいないのでよしとする。


「実はな、あの黒いローブの男が俺の知り合いかもしれないんだ」


「「えええ!?」」


 リーとオリビアの声が大きな声を上げてそろった。

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