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勇気をもって、異世界へ  作者: レイン
76/170

76 交渉成立で、異世界へ

 めいいっぱい食事を楽しんだ後、そのまま片付けをして休み、翌日の朝だ。簡単な朝ご飯も済ませており、出発する準備は出来ている。


「よし、じゃあ行くか。これから現れるモンスターはレベルが違うぞ。絶対に気を抜くなよ」


 ギルドマスターがそう言って皆に喝を入れる。その言葉に護衛だけでなく使者達も頷いた。

緊張感もあるため大丈夫だろう。


 そして先頭をギルドマスターとリアム、使者4人、オリビアとアン、ホワイトストライプスの順番で嘆きの森の中へ入っていく。

 蓮人達が村からの帰りにある程度草を切りながら帰ったため分かりにくいが道が出来ているため迷う心配もないだろう。


 そうして2時間程が経っただろうか。少し開けたところに出たのでそこで休憩をとることになる。各々持っている水やパンで簡単な食事をとっている。

蓮人も周囲を警戒しながらパンをかじっていると、ギルドマスターに手招きされた。


「ちょっとこっちに来てくれ」


 呼び寄せられ、使者達には聞こえない程度の声の大きさで


「今までモンスターが出ないのはおかしくないか? 前に来た時はどうだった?」


「オークが数匹出ただけだったよ。運がよくてまだ出会っていないって言える程度だと思ってる」


 蓮人は前に来た時のことを思い出してそう言う。


「そうか。この心配が杞憂だったならいいんだけどな」


 ギルドマスターは何か起こると思っているようだ。その予想が外れることを祈るしかない。


「ところで王女様の様子はどうだ? もうそろそろ進んでも大丈夫か?」


 ギルドマスターはこの話は終わりとばかりに話題を変える。


「大丈夫だと思う。疲れてる様子もなかったし。本当にずっと王城に籠っている王女様なのか疑いたくなるような感じだよ」


「そうか、ならまた進み始めるか。蓮人も早く後ろへ戻れ」


 どこか痛いところをつかれたというような顔をしてまたいきなり話を終わらせた。


 (やっぱり過去に何かあったんだろうな)


 蓮人は前からあったその思いを確信に変えた。


 そしてまた進み始める。






 結局日の沈む前に、1度もモンスターに襲われることなく無事に村に着くことが出来た。ちなみに村を見えなくする結界はこの前の件でまだ直すことが出来ていないので蓮人達にもすぐ分かった。

 蓮人達が帰ってきたことはすぐに村長に伝えられ、お出迎えが来る。


「ようこそおいでくださいました。獣人族一同歓迎しております」


 お出迎えには知性に溢れている丁寧な獣人族の女性が来た。いわゆる社長秘書みたいなものなのだろうか? 勿論そんなことは口には出さないが。


「私はヴェスナ王国第1王女オリビア・ヴェスナと申します。どうぞよろしくお願いします」


 オリビアも王女に相応しく優雅な一礼を返す。


「早速ですが村長がお待ちですのでついてきて頂いてもよろしいでしょうか?」


「分かりました。早速行きましょうか」


 そうして全員で後ろについて歩いていく。

 村長の家にはすぐに着き、ドアの前で村長は立って待っていた。そして蓮人達の顔を見つけるとニッコリと人の良い笑みを浮かべる。


「遠いところよくおいでくださいました。私がこの獣人族の村の村長をしておりますペスと申します。よろしくお願いします」


 今まで話していた時はおじいさん特有ののんびりとした話し方だったのだが、今はハキハキと敬語を話している。


 挨拶も一通り終えて家の応接間へと通される。中へ通されたのはオリビアと何故かホワイトストライプスだけだった。


「改めまして、よく来てくださいました。村長のペスです。

 そして蓮人とリーにポチ、よくやってくれたの。こんなに早いとは思わなんだ」


 そしてフォッフォッフォと笑っている。こっちの方が村長ぽい。


「こちらこそ、お呼び頂きありがとうございます。それで早速ですが頂いた書類のお話を詳しく伺っても?」


「勿論ですじゃ」


 そう言って長々と話が続く。要約すると書類に書いてあった通りなので今回は割愛する。


「分かりました。今度はそれに対する、ウェスナ王国の在り方です。

 私達は獣人族の皆さんとは出来るならば友好的な関係を持ちたいと考えております」


 オリビアはそれで一旦会話を止める。


「なるほど、出来るならば、ということは何か条件があるのでしょう。してそれの条件とは? できる限りのことは聞きましょう」


 オリビアは村長からのその言葉を聞くためにわざと会話を途中で止めたのだ。なかなかに策士である。


「獣人族の方達との交流や輸出入を他国の方達とするなとは言いませんが、ウェスナ王国を優先的にするようにしてもらいのですよ。それならばこちらも誠心誠意対応させて頂きます」


 特に悪い内容ではない。他国との交流を禁止と言っているのならば関税などを吹っ掛けられる可能性をあるのだがそういう事もない。

 村長はしばらく考え込んだのだが、それでウェスナ王国と懇意に出来るのは良いことだと考えたようだ。


「よろしくお願いします」


「交渉成立ですね」


 2人は握手を交わす。

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