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勇気をもって、異世界へ  作者: レイン
66/170

66 うまくいきそうで、異世界へ

 「そろそろ国王陛下がご入場なさる。くれぐれも粗相のないようにな」


 衛兵の人からそう声を掛けられたので、3人は片膝をついて顔を伏せて待つ。

 それを確認した衛兵は奥の扉の前に行き、扉に手をかけて大声を出した。


「国王陛下、ご入場である!」


 それと共に扉が開かれ、人が何人か入ってくる。

 そのまま王座へと向かい、1人が座り残りが王座の側で立っているのが蓮人は顔を伏せながらも分かった。


「顔を上げて構わん」


 王様らしき人からそう言われる。声が低く、威厳に満ちた声だった。


「ありがとうございます」


 3人はそう言って顔を上げると目の前には3人の人がいた。

 王座に座っているのは言わずもがな王様だ。頭を豪華な王冠を被り、真っ赤なマントを着ている。髪も髭も真っ白でなかなか高齢のようだが体はガッチリとしており、その体つきからそれなりの実力を持っていることが分かる。

 その側で立っているのが剣を持つ長身の男と杖を持っている背の小さな女だ。

 2人とも顔は隠しているのだが、男の方はそれなりに歳がいっていてベテランとも言える雰囲気が漂っているのだが、女の方はまだ幼く感じられる。日本で言う高校生くらいだろうか。

 蓮人がそんな風なことを考えていると、また王様から声が掛けられた。


「ギルドマスターからの手紙と、その中に入ってあるものも読ませてもらった。して、その話は本当なのか?」


 予想はしていたがやはり簡単には信じてもらうことは出来ないようだ。


「はい、本当です。その証拠に横にいるポチは獣人族ですから」


 蓮人はそう言ってポチのフードを脱がせる。

 ポチの頭に視線が集まり、そして王様やその横にいる人達が息を飲んでいるのが分かった。

ポチは少し顔を赤らめながら、耳をピョコピョコ動かしている。これで嘘ではないことも、耳が偽物でないことも分かるだろう。

 少しの間が空いたあと、王様はオホンと咳払いをしたあと、また口を開く。


「うむ、どうやら本当らしいな。それが確認できたところで、村長からの手紙に書かれてある通り、ワシはこの国の王として獣人族の村へと使者を送りたいと思う。ワシとしても獣人族とは友好的な関係を築きたいからな。

 そこで、お主たちにはあることをお願いしたい」


「なんでございましょうか」


 蓮人は自分が使える限りの敬語を駆使しながら返事をする。正しいのか分からないのが不安なところだが。


「お主らはその獣人族の村への道を知っていると共に、Bランク冒険者として腕も立つと聞いておる。

 そこでじゃ、お主らには使者の道案内とその道中の護衛を個人依頼として頼みたいのじゃ。勿論タダとは言わん、報酬も弾ませてもらおう。どうじゃ?」


「謹んでお受けいたします」


 蓮人達はまた顔を伏せて礼と共に返事をする。そもそも断る勇気など蓮人にはなかった。


「うむ、それは良かった。

 では3日後の朝、日の出と共に出発とする。その時間に王都の門に集合にしよう。

 道中必要なものは全てこちらで用意するので、お主らは自分の装備だけきちんとして置くようにな。

 何か聞きたいことはあるか?」


「いえ、ございません」


「そうか、ではこれで終わりとする」


 そう言って王様は立ち上がるとすぐに謁見の間を出ていった。

 扉をしまったのを確認したあと、蓮人達は立ち上がる。


「ふー、緊張したなぁ」


「私なんて緊張して何も話せませんでしたよ、さすがですね」


「おいらいっぱい見られて恥ずかしかったよ」


 ポチはもうフードを被らずに耳を出している。


「なんにせようまくいきそうで良かったな。とりあえず宿に戻ろうか」


 3人は謁見の間を出て、宿へ戻るために王城の出口へ進んでいく。

そのとき、


「きゃぁぁぁぁ! なんですの、この生き物は!」


 そんな声が聞こえたと思うと、次の瞬間にはポチが女の人に抱えあげられて頬ずりされていたのだった。

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