65 謁見できることになって、異世界へ
次の日の朝早く、ホワイトストライプスはギルドマスターからの書類を持って王城の門の近くにある衛兵の詰所に向かっていた。
(本当に話を通してくれているかは分からないけど早めに行って損は無いからね)
その考えの元、昨日の騒動からずっと眠り続けているポチを無理やり起こしたので朝からの労力がすごく、蓮人はもう疲れた顔をしている。
「蓮人さん、疲れた顔をしていますけど大丈夫ですか?」
リーが心配して声をかけてくれた。
「そんな顔してたか? ポチがちゃんと起きてくれたら疲れないのになぁ」
「ごめんなさい! お腹いっぱい食べたから眠くて仕方なかったの!」
3人はそんな会話をしていると詰所の前に着いたので、とりあえず扉をノックしてみた。
中からはーいという声が聞こえた。ガチャッと音が聞こえて扉が開いたかと思うと中から出てきたのはいわゆるガチムチの怖い顔をした衛兵だった。身長なんて蓮人の2倍近くあるので威圧感がとんでもない。
「そんなに怖がんないでくれや。取って食ったりしねえよ」
「そうそう、見た目は怖いけど中身は良い奴だから大丈夫だよ」
奥からすらっとして細いイケメンがそう言いながら出てきた。
「それでどうしたんだい?」
「僕らホワイトストライプスってパーティーで、ある依頼で書類を王様に届けに来たんです」
それを聞いてピンっと来たという顔をした衛兵2人。
「ああ、ダーガから話は聞いてるよ。早速中に入ってよ」
そんなこんなで中に通されて椅子へ促される。
「じゃあ書類を出してもらおうかな」
イケメン衛兵に言われて蓮人は書類を取り出して渡したのだが、それを受け取った衛兵2人は驚いている。
「こ、これはガサラのギルドマスターの押印じゃないか! しかも緊急用の! すぐに確認して王城へ渡すから待っててくれ」
そう言って書類を持ったまま部屋から出ていった。
「何かわからないですけど、早く会えそうですね」
「そうだな、良かったよ」
ポチは横で船を漕いでいた。
衛兵2人が出ていったあと、事務員らしき人からお茶を出され、もう暫くお待ち下さいとだけ言われて3人は部屋に待機することになった。
そのまま待ち続けて1時間ほどが経ったとき、バタバタ外が騒がしくなったと思うと勢いよくドアが開いた。
「謁見の許可が降りたぞ! 今回は緊急だから服装はそのままで構わんから粗相だけはないようにしろ!」
出てきたのガチムチ衛兵だった。強面の顔かつ大きな声でまくし立てられたものだから蓮人もリーも驚いて声を出せない。これでポチは起きたので、それは良かったかもしれないのだが。
「返事は!」
「「「はい!」」」
3人の声が揃った。
その返事に満足したのかガチムチ衛兵は3人に付いてこいとだけ言って王城の方へ向かっていく。
その道すがら作法について軽く説明される。
「これから通される場所は謁見の間だ。
係の者から国王陛下が来られると言われるとその場で片膝をついて顔を伏せておくのだ。必ず国王陛下から顔を上げよの声があるまで上げるんじゃないぞ。
後、言葉遣いは必ず気をつけるんだぞ、間違っても国王陛下のことを王様なんて軽々しく言わないようにな」
「「「はい!」」」
3人は緊張しているが、元気な返事をする。
「そこまで緊張せんでも構わん。国王陛下はお優しい御方だからな」
そんな風に心構えと作法を聞いていると謁見の間の扉の前に着いた。
「私が案内出来るのはここまでだ。くれぐれも粗相のないようにな」
「はい、ありがとうございました」
蓮人達は頭を下げてお礼を言う。
「うむ、ではな」
そう言ってガチムチ衛兵はその場を去っていく。それを見計らったのか扉の番をしている衛兵から声をかけられた。
「早速中に入ってもらいたいんだが、その前に身体検査と武装解除をしなければならない決まりになっているんだ、武器はこちらへ渡してくれ」
国のトップに会うのだ、命の危険に関わるものの持ち込みが禁止されるのは当たり前だろう。
3人は大人しく受け入れ、終わるとそのまま中へ通された。
「うう、緊張してきたなぁ」
「そうですね、私も緊張してきました」
「おいらも全く眠くなくなった」
傍から見ると緊張していないように見えるのは秘密だ。
そんな会話をしながら王様が入ってくるのを待つのだった。
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