61 王都に出発するために、異世界へ
「なるほど、蓮人の言うことは本当みたいだね。というかもっと重大なことが書かれていたよ」
「え、何ですかそれ」
「ゆくゆくはこの王国の傘下に入るのではなく獣人族の王国として独立したい、的なことが書かれてあったよ」
「「ええ!」」
蓮人とリーが予想外のことに驚きを隠せない。ポチは出されたお菓子をパクパク食べている。さっきご飯を食べたところなのによく入るものだ。
「まあ王国とは友好的な関係を持ちたいとも書いてあるから大丈夫だよ。
とりあえずこれを王様に見せないことには始まらないね、早速私から手紙を書くとしようか。この手紙の使者としてホワイトストライプスに行ってもらうよ。ポチの姿を見せてやった方が信じるだろうしね。てことで頼むよ」
「分かりました!」
蓮人はもう一度敬礼する。
ギルドマスターに少し嫌そうな顔をされながらも明日もう一度来いとだけ言われて帰ることになったので部屋を出た。
「なんだか怖いくらいトントン拍子に進んでるなぁ。これならポチがフードを被らずに出歩けるようになるのもすぐかもな」
村長にはもう隠さなくてもいいと言われたのだが、王国の承認を受ける前にバラすのはやめた方がいいとなったためまだポチはフードを目深に被って招待を隠しているのだ。
「そろそろ暑くなってきたから早くこれ脱ぎたい」
「そろそろ夏ですからね」
リーとポチがそんな会話をしている。
(この世界というか国にも四季はあったんだな)
勝手なイメージだがこの国は異世界というだけで常に過ごしやすい気候なんだと思い込んでいた。
「この国にも四季があるんだな。だいたいどんな感じなんだ?」
蓮人はリーに尋ねた。
「今くらいの季節がだいたい春、これより暑くなってくると夏、夏が終わってまた涼しくなってくると秋、さらに冷え込んですると冬でそれの繰り返しですね」
四季があるのは日本と同じでだいたいの温度変化も日本の関西あたりと同じなようだ。冬でもこの国ではそうそう雪が降らないらしい。
そんな会話をしながら歩いていると普段の宿に到着した。そのまそれぞれの部屋へと別れて休むのだった。
次の日、朝ごはんを済ませた蓮人達の姿はまたもギルドマスターの部屋にあるのだった。
「じゃあこいつを王城の前にいる門番にも渡してくれ。何日か時間がかかるかもしれないがおそらく合わせてもらえるはずだよ」
「分かりました」
そう言って大きめの封筒を渡された。その封筒にはギルドマスターの名前とギルドの紋章の印が押されてあった。
「くれぐれも開けるんじゃないよ、開けたら偽造したと思われて捕まるかもしれないからね。
後村長さんからの手紙もそこに入れてあるから絶対無くしちゃダメだからね。
リーとポチもよろしく頼むよ」
「肝に銘じておきます」
「お任せ下さい!」
「おいら頑張るぞ!」
そう宣言してギルドマスターの部屋を出る。
早速王都へ向けて出発しようとしたのだが、レノに呼び止められた。
「ホワイトストライプスの皆さん、これはギルドマスターからの個別依頼扱いになってるので、出発する前に手続きお願いします!」
「そうなんですね、じゃあ早く済ませちゃいましょう!」
そう言ってリーが蓮人とポチを引っ張られ、そのままこの依頼についての説明を受ける。
「この依頼は王都へとこの書類を届けることになります。なので往復の馬車代などの旅費は全てギルド負担となります。こちらがその旅費の10000ゴールドになります」
そう言って皮袋に入った大金を手渡された。
「もし足りなければ依頼達成の報告の際に伝えてくれれば差額の分をお渡しするので遠慮なく言ってください」
「すごい待遇ですね」
リーはあまりの待遇の良さに驚いているが、そんなリーの様子にレノは何を言っているんだという顔をしている。
「この件は歴史が動くと言っても過言ではありません。そのお手伝いなのですからそうなりますよ」
レノにそう言われて蓮人達は少し感動していた。ポチは歴史が動く瞬間に立ち会える事ではなく貰ったお金で食べられるご飯の事を考えてだったのは内緒だ。
「はい、これで手続きと説明はおしまいです! 頑張ってきてください!」
その他諸々の説明が終わった後、レノに励まされたホワイトストライプスは早速王都へ向けて出発するのだった。
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