表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇気をもって、異世界へ  作者: レイン
50/170

50 ポチの新たな力に、異世界へ

 「アクアヒール」


 リーがそう唱えると、神聖な光を放つ水球が宙に浮かび上がり、そしてポチの傷ついた場所に優しく飛んでいきその部分を覆い尽くし染み込んでいく。

 その水が全て染み込んだ時、ポチの傷は完全に癒えていたのだった。


「はい、もう大丈夫だよ。ポチちゃんまだ頑張れる?」


 そのリーの問いかけに、ポチは宙に向かって放つ咆哮で答える。


「よし、頑張ろっか」


 その返事にリーは満足気な笑みを浮かべ、そして2人は構えをとる。

対して、敵は面白くなさそうな顔をしている。


「ちっ、もうちょいで捕まえられたってのによ。邪魔しやがってこの野郎。お前は殺してやる」


 イライラしている男はフラスコに入った薬を懐にしまい込み、レイピアを構える。


「そう簡単にはいきませんよ!バブルショット!」


 リーは大量の泡を生み出し、敵3人の足元に向かって放つ。それをジャンプして避けようとするのだが、そこでリーは風を生み出した。

 本来、放出してしまったバブルショットは一直線にしか飛ばすことが出来ない。しかしそこで風を生み出してシャポン玉のように動きを変えることは可能である。それを使って空中に跳んでいる3人に直撃させ爆発を引き起こす。


 (今までならこれ程までにバブルショットを作ることも、同時に風を生み出すことも出来なかった。やっぱりこのローブ、かなりすごいです)


 敵は皆リーのバブルショットの爆発のおかげで吹き飛ばされ、体勢を崩している。


「アウォォォォォォォ」


 ポチは一際大きい雄叫びを上げ、自分も戦いに参加しようと右前足に力を込める。いや、力だけではない、ありったけの魔力も集めていく。

 今までは獣人族の持ち前の身体能力で充分だったのだが、今回はそういう訳にはいかない。唯一持っている無属性魔法の適性を、活用する時が来たのだ。

 力と魔力がこもった右前足は淡い光を放ち出し、だんだんとその光は強くなっていく。

直視出来ないほどの光だったのが、段々と薄まっていく。その中心にあったポチの右前足の爪が20センチメートルを超える長さになっており、鋭さも今までの爪の比ではない。


 そしてポチは敵に向かって駆け出したと思うと次の瞬間には目の前にいた。魔力を活性化させ右前足に集めただけのはずなのだが、魔力を活性化させた段階でポチの身体能力を飛躍的にアップさせたようだ。今までの速さの比ではない。

 そして振り上げた右前足を、男の胸に向けて振り下ろす。今までは胸当てに阻まれ通らなかった爪が、豆腐を切るかのようにスっと入った。そしてそこから血を吹き出し、それ以降起き出してくることは無かった。


 残りは双子の魔法使い2人である。

 しかし、この2人は前衛のレイピアの男がやられた時点で戦意を失わせているようだ。地面に向けてファイアボールを放ち、砂煙を上げさせてその隙に逃げようとしているようだ。


「逃がしませんよ! トルネードウインド!」


 リーは杖を2人に向かって突き出す。すると今まで発生させていた風の比ではないレベルの風が発生し、砂煙を吹き飛ばすだけでなく背を向けて走っていた男を転ばせ、転がらせる。


「ポチちゃん、捕まえてください!」


 そのリーの言葉に従って強風が吹き荒れる中転がる2人に追いつき、首筋の服の部分を口にくわえて捕まえた。

 迫り来るポチに恐れたのか、くわえられている2人は白目を向いて気を失っている。


 リーはその2人を縄で縛り上げ逃げ出せないように捕獲している。

それを確認したポチは獣化を解き、元の姿に戻った。


「頑張ったね、ポチちゃん!」


 そう言ってリーは頭を撫でてあげる。


「後は蓮人さんだね。頑張って……」


 近くで行われている剣のぶつかり合う音を聞きながらリーはそんなことを呟いた。








 蓮人は辛うじて刀を構えているが、肩で息をしており、限界なようだ。

それに対し、ボスの顔からは余裕の笑みは消えているがそれでも呼吸は乱れておらず、冷静に大剣を構えている。


「それで終わりなら、もうお前死ぬぜ?」


 ボスからはそんな言葉が放たれた。それに心が折れそうになるが、歯を必死に食いしばって耐える。

 確かに無属性魔法を全開にして何度斬りかかっても全て防がれ、それから放たれるカウンターに、蓮人がダメージを受けてしまっていた。


 (確かに、技術でも力でも、相手の方が上だ……。だけど、負けられねえ。ここで負けたら皆殺されちまう。俺が……守るんだ!)


 挫けそうな心を必死に繋ぎ止め、皆を守るとより決意を固める。

そのとき、また蓮人の体が白く眩く光輝き出した。


「まだだ終わらねえ。行くぞ!」


もう一度蓮人は斬りかかった。

読んで頂きありがとうございます!

よろしければブックマーク、評価、感想お願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ