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勇気をもって、異世界へ  作者: レイン
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46 二度寝のために、異世界へ

 ピヨピヨと鳥の鳴き声が外から聞こえてきたので、蓮人は窓の方へ顔を向けると、もう朝日が差し込んできていた。


「もう朝か。全然眠れなかった……」


 眠い目を擦りながら体を起こし、窓を開けて新鮮な空気を吸い込んでひと伸びするのだった。

 結局変に意識してしまっていた蓮人は眠ることが出来ず、リーのスースーという寝息を聞いていたのだった。


 (いい朝だな……)


 そんなことを思いながら朝焼けを眺めていると、リーも伸びをしながら起き出してきた。


「ふわああ。おはようございます、蓮人さん」


 大きなあくびをしながら朝の挨拶をして蓮人の横に並ぶ。


「綺麗な朝焼けですね。いい朝です」


「そうだな。今日もいい一日になりそうだ」


 そんな風に2人で窓の外を眺めていると扉がノックされ、シロとポチが中に入ってきた。


「おはようございます。昨日はよく眠れました?」


「はい! 布団で眠るのは初めてだったのですがベッドとは別の良さがありました」


 リーとシロはそんな会話をしている。

 そんな中ポチは蓮人の布団に潜り込んでもう一度眠ろうとしていた。それに続いて蓮人も潜り込み、頭から布団を被る。蓮人に気づいたポチはそのまま抱きついたと思うとスヤスヤ寝息をたて始めた。

 そんなポチにホッコリした蓮人は頭を撫でてあげながら眠りに落ちてしまうのだった。


 そんな光景を見ていたリーとシロは布団を剥がして起こそうとしたのだが、2人があまりに気持ちよく寝ていたので起こすのを諦めた。


「もう少し寝かしといてあげましょうか」


「そうですね、2人ともとっても気持ちよさそうです」


 リーは微笑みながら2人の頬をツンツンとつつき、布団をかけ直して上げるのだった。






 「ふあぁぁぁぁぁ」


 大きなあくびと共に蓮人は体を起こす。窓から見える太陽はもはや空高く登っているのだった。


「げ、もう昼だ! おい、ポチ起きろ!」


 蓮人は慌ててポチを揺すり起こす。


「んー……あと5分……」


「もう昼だぞ! ご飯食べ逃しちゃうぞ!」


「ご飯食べる!」


 ご飯の単語を聞いたポチは一瞬で覚醒し体を起こす。


「蓮人、早く起きよう! ご飯だよ!」


 そう言ってポチは部屋を出て行くのだった。蓮人はしっかり布団を畳んでから出ていった。日本人たるもの、そういうところはしっかりしないとね。







 「おはようございます、蓮人さん。しっかり2度寝してましたね」


 リーはお茶を飲みながらシロと話をしていたようだ。ハチはどこかへ出かけているらしい。


「悪い、リー。村を出る時間がすっかり遅くなっちまった。急いで出発するか」


「私はいつでも大丈夫ですよ」


「え、もう行っちゃうの?」


 ポチがうるうるとした瞳で問いかけてくる。


「まあいつまでもいる訳にはいかないからな」


 それを聞いてシュンとするポチ。


「別にそんなに急がなくていいわよ。今出発したって森の中で夜になっちゃうわよ。もう一晩泊まっていきなさいな」


 シロがそんな申し出をしてくれるのだが、申し訳なく思ってしまう。


「でもそんな続けてお世話になるなんて……」


「じゃあ今日の夜ご飯の準備でも手伝ってくださいな。そのお礼に泊まっていってください」


「まあそういうことなら……」


 (なんだか丸め込まれた気がするがここはお言葉に甘えさせてもらおう)


 そうしてもう一日泊まることになるのだった。






 朝と昼兼用のご飯を食べたあと、蓮人とポチとリーの3人は近くにあった公園に遊びに行っていた。

 その道すがら蓮人はポチにあることを尋ねる。


「やっぱりここにいた頃のことは全然思い出せないのか?」


「うん……。見覚えはあったりするんだけど、何か靄がかかったみたいになってる。でも、お父さんとお母さんがあの人だってのははっきり分かったよ!」


「そうか、それなら大丈夫だな!」


 蓮人はそんな返事をするのだが、ずっと違和感を感じていた。タロはもう忘れたのかは分からないのだが、死にかけで倒れていたのだ。しかし誰にやられたのか覚えていないようで、なんならそんなことがあったこともほとんど覚えていないような気がする。それらは何か関係があるのではないかと考えてしまう。


 (気のせいだといいんだけどな……)


 そのとき、村を覆っている結界が何故か解かれているのが見えた。


「蓮人さん、結界が……!」


「あれどうなってんだ!」


 リーとポチが分からないという風に問いかけてくるのだが、そんなこと蓮人にも分からない。

 周りにいる獣人族もどこか焦っているようだ。


 (獣人族は結界を素通りできたはずだ。となると結界を解く必要がない。何だか嫌な予感がするな……)


「とにかく行ってみよう!」


 そして3人は人の集まる方へ走っていくのだった。

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