28 これからの相談に、異世界へ
あれからは何かに襲われることはなく、無事にガサラに着いた。閉門時刻ギリギリだったが。
そして3人は宿に戻って会議を始める。
「よし、とりあえずここまでこれば安全だろう。それで今日の5人組の話になるが、心当たりはあるか? おそらく今日襲ってきたやつらがポチを攫ってきたんだと思うんだが……」
ポチは首を振っているのに対し、リーは考えている。
「もしかしてリーは何か心当たりがあるのか?」
「はい……。ガンズローゼズというのはこの街の有名な裏組織の名前だったはずです」
リーからそんな言葉が発せられた。
(裏組織か……。今回の件で確実に敵に回してしまっただろうし、殺しに来る可能性が高い。これはいよいよヤバいか?)
「そうか……。俺達はとんでもない相手にケンカを売ってしまったのかもしれないな」
蓮人はどう対処するべきか考え込む。
そうなると5人組の4人を逃がしてしまったのは痛かったかもしれない。
その4人が蓮人について報告しただろうし、更なる戦力でを襲ってくるのは確実だろう。
「ちなみに規模は分かるか?」
「ガンズローゼズがガサラの裏を牛耳っていると聞いた事があるだけで、具体的な規模は分かりませんが相当なものだと思います」
ガサラは商業都市であるため流通の元である。そのため、他の街と比べてもかなりの規模である。その裏を仕切っているとなるとかなりのものだろう。
「とりあえずヤバいことだけは分かった。これからは1人で行動するのはやめよう。絶対2人以上、出来ればこの3人で行動するんだ」
その蓮人の言葉にリーとポチは真剣な顔をして頷く。
かなり重たい空気が流れている。その空気を和ませるために
「ポチ、安心しろ。俺達がお前を絶対に帰してやるから」
そう笑みを浮かべてポチの頭を撫でてやる。
「うん! 信じてるぞ! おいら達は仲間だからな!」
そう言ってポチも笑みを返す。
こうして蓮人はまた決意を固めるのだった。
そして次の日の朝である。
「とりあえず、ガンズローゼズにビビっていても仕方ない。ポチを親のところに帰せば俺達の勝ちなわけだし、探していくべきだろう」
蓮人のその提案に2人は頷く。
「依頼も受けずに街を出ていけば、どこか怪しまれそうな気がします。なので、ギルドで依頼を受けながらその付近の森を探して行く、というのはどうでしょう?」
「俺もその案には賛成だ」
「おいらもそれでいいぞ」
「じゃあとりあえず今日もギルドに向かうとするか」
ギルドに3人が中に入ると注目が集まり、レノが急いで駆け寄ってくる。
「なぜ昨日は討伐報告をしに来なかったのですか? 何かありましたか?」
昨日は色々あって依頼を受けていたことをすっかりと忘れていた。
どうやらレノには心配をかけてしまっていたようだ。
「ああ、色々あってな。でも誰もケガしてないから安心してくれ」
「ええ、大丈夫です! 私達はとっても元気ですから!」
そう言ってレノを宥める。
「それならいいんですが……。あまり心配かけさせないでくださいね!」
レノに注意を受ける。
「悪かったって。それより、今日俺達が受けられそうな依頼ってあるか?」
「ああ、それならオーガ討伐の依頼が入っていますよ。ここから歩いて4時間程の森に出たようです。ちなみにCランクモンスターなので蓮人さん達であれば大丈夫だと思います」
「お、ちょうどいいな。じゃあそれにしようかな」
そうしてオーガ討伐の依頼を受けることになるのだが、出発する前にレノにガンズローゼズについて尋ねる。あくまで悟られないようにサラッとだが。
「そういやさ、レノってガンズローゼズって名前聞いたことある?」
全然サラッとではなく単刀直入に尋ねていた。
「なんですかいきなり。まあありますけどね。ガサラの裏を仕切っている裏組織ですよね?」
「何か噂って聞いたことあるか?」
「うーん、何も分かりませんね」
「そうか、ならいいんだ。じゃあ行ってくるよ」
何かあったのかと説明を求めてくるレノを無視して3人はギルドを出て、オーガ討伐に向かう。
「やっと見つけたな」
森の中を歩いていたらオーガを見つけた。
「じゃあいつも通りいこうか」
蓮人がタンク、ポチが遊撃、リーが援護という形が決まっていた。
そうして危なげなくオーガを討伐することに成功する。
オークよりは力も強く素早かったので苦戦はしたが、良い訓練相手となってくれた。
蓮人の技量は今やCランクモンスター程度ならば無属性魔法を使うまでもないほどに上がっているようだ。
だが、蓮人はまだ納得しない。
(もっと強くならなくちゃ……。2人は俺が守るんだ)
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