24 オーク退治と思いきや……? 異世界へ
3人はオークの姿を探しなから、さっきの戦いの反省と次の戦いの作戦を立てるのだった。
「ポチは強かった。それは確実だ。だが欠点が1つある。何だか分かるか?」
蓮人はポチに自分の弱点を理解し、より強くなってもらうためにそう尋ねた。
ポチは真剣に考えて悩んでいるが、検討がつかないようだ。
「答えは、その体だよ」
何がダメなのか分らないという風に首を傾げている。ポチはいいとして、リーまで首を傾げているのはあまり頂けないが魔法使いなので仕方がないと強引に納得して説明してやる。
「ポチは年相応に体が小さい。だからポチの速さなら機動力はバツグンで並のモンスターじゃ捉えることが出来ないだろう。
だが、その分力が無いんだよ。ゴブリン程度なら人と変わらず斬れるだろうが、オークとかになると皮膚が固く、刃が通らない可能性がある。
これはまだ筋力が発達しきっていないから仕方が無いことだ。
これは防御の方にも言えることだ。ポチが棍棒などの鈍器で一撃を貰うとそれでおそらく立ち上がれなくなる。
このことは絶対に気をつけて、必ず一撃離脱で敵を翻弄することに徹してくれ。
分かったか?」
リーとポチはうんうんと頷きながら話を聞いていた。ポチにも心当たりがあった話のようだ。
「なるほど、話はよく分かりました。
それでオークの倒し方ですが、私とポチちゃんがオークの集中を逸らしながら、蓮人さんが隙をついてオークを斬るという戦法ですか?」
「そうだな、だいたいはそんな感じだ。ただ今回はオークの攻撃を捌くのも俺がする。2人には俺の援護に回って、オークに隙を作ってくれ」
ゴブリンキングの件でしっかりと学んだ蓮人は連携と作戦を立てる。作戦と言うにはお粗末な気はするのだが。
「了解です!」
「おいらはとりあえずいっぱい動いてオークを集中出来なくさせたらいいってこと?」
一気に色々言われすぎて頭がこんがらがってきているようだ。
「まあそういうことだよ。絶対無理はするんじゃないぞ?」
シンプルな答えにポチは元気よく答え、やる気満々である。
少し不安だが、ポチのあの集中力ならヘマをすることは無いだろう。
「よし、じゃあ行くか。今ならオークも1体だけだしな」
そんなこんなで話している内に、少し離れたところにオークが水を飲んでいるのが見えていた。まだ気づかれていないようだ。
「まずリーがウインドアローでオークに攻撃してくれ。発射のタイミングで俺とポチも行くぞ。俺がオークの棍棒を捌くからポチがナイフで細々と攻撃していってくれ。頼んだぞ!」
そうして3人はそれぞれ武器を構えて戦闘態勢に入る。
「ウインドアロー!」
リーが魔法を唱えた。その瞬間に蓮人とポチは走り出した。
ウインドアローが命中するが、大したダメージにはならず、オークが棍棒を構えてこちらを見る。
蓮人が無属性魔法を発動させてオークに向かって刀を振り下ろした。オークは慌てることなく棍棒でそれを受けてくる。
だが、その瞬間にポチがオークの後ろからトップスピードでナイフで膝裏を斬っていく。しかし皮膚が硬くポチの力では刃が通らず、薄く血がにじむ程度であった。。そのままポチは3撃ほど与えて距離を取る。
オークはそんなポチに見向きもせず、蓮人に狙いを定めて棍棒を振り下ろす。
ガムシャラに振り下ろされる棍棒を蓮人は剣で上手く受け流していく。ギルドマスターの動きにはまだ適わないがその動きの片鱗が感じられた。
その間にも、リーは風魔法や水魔法で蓮人の体勢が厳しい時に援護して攻撃の軌道を逸らせたり、ポチも諦めずに膝裏や腱などの動きに重要な部位を執拗に斬っていく。
そんなポチの攻撃が効いてきたのか、オークの動きが鈍くなってきて、呻き声を上げて後ずさった。
そしてオークに隙が出来る。
「リー、風魔法頼む!」
蓮人はリーに向かってそう叫ぶ。
それだけで意図を理解したリーは、ホライズンが使っていた風魔法を発動し、オークには向い風となり蓮人には追い風となる強風を生み出す。
蓮人はその風に乗って無属性魔法を全開にして刀を大上段から振り下ろし、オークの体を右半身と左半身に真っ二つに斬った。
鮮やかな太刀筋である。
蓮人は終わったことを確認して、リーの方をナイスとばかりに振り向いて、右手をグッドの形で突き出した。
だが、リーはそんな蓮人に反応することなく、ポチの方を目を真ん丸にしてじっと見ている。
なんなんだよと思ってポチの方を見ると、そこには風魔法の強風によってフードが脱げたポチが呆然と立っていた。
「嘘……だろ?」
何があったのか分からない蓮人とリーは立ち尽くす。
その理由はフードの脱げた頭の上についている『モノ』が原因だ。
そう、ポチの頭にはいわゆる『ケモノミミ』が付いていたのであった。
読んで頂きありがとうございます!
タイトルが思いつかない!!!!




