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勇気をもって、異世界へ  作者: レイン
22/170

22 ポチのパーティー加入に、異世界へ

 「探してやるとは言ったものの、どうしたらいいんだ?」


 なぜか放っておくことが出来ず、探してやると意気込んだものの、ポチは自分の親のことを覚えておらず手掛かりが全く無い状態である。そのため蓮人とリーは椅子に腰かけて途方に暮れているのだった。


「どうしましょうか」


 2人は知恵を振り絞って考えているがいい考えは何も浮かばない。

 ちなみにポチはリーの膝枕で眠っている。けしからんやつである。


「ポチは気づけばここにいたって言っていたし、生まれがこの街である可能性は低いよな。この街生まれならもう見つかっているはずだしな。となると、他の街や村の生まれである可能性が高い。他の街や村を聞いて回るしかないか」


「しかないですかね」


 結局、しらみつぶしに聞いて回ることになるのだった。勿論、ポチに思い出してもらえるように協力するのだが。


「この広い世界でポチの親を探してやるのか、途方もない話だな」


 とんでもない話ではあるのだが、どうせすることも無かったので結果オーライと思うことにした蓮人である。


「まあいい目標も見つかったってことで、頑張ろうぜ」


「はい!」


「おいらも頑張るぞ!」


 いつの間にかポチも起き出してそう言うのだった。やる気充分である。


「じゃあ明日から、ギルドで依頼を受けながらその近くにある村に行ってみるか」


「「おー!」」








 次の日、3人は依頼を受けるべくギルドに行くのだった。


「そうだ、ポチの冒険者登録もしてやらないとな」


「おお、おいらも冒険者になれるのか!」


「ギルドカードがないと街の出入りが出来ないし依頼も受けられないからだよ」


 そういうことでレノに話しかける。


「おーい、レノ。こいつを冒険者登録してパーティーに入れてやりたいんだが」


 蓮人はカウンターの奥にいるレノに声をかける。

 はいはーいとレノは書類を持ってこちらにやって来る。


「えーと、この少年でいいのですか?」


「ああ、そうだよ。ほらちゃんと名前言って」


 リーの後ろに隠れてレノの様子を伺っているポチにそう言う。

するとレノの前にまで移動し、自己紹介を始める。


「おいらはポチだ! よろしくな!」


「ええ、よろしくお願いします。ところで、蓮人さんとリーさんのお子さんですか? それにしては大きすぎません?」


 レノがそんな爆弾発言をする。

蓮人とリーは顔を真っ赤にして黙り込む。


「違うぞ! 蓮人とリーはおいらの父ちゃんと母ちゃんを探すのを手伝ってくれるんだぞ!」


「あー、なるほどですね。確かにお二人のお子さんなら早すぎますもんね」


「そ、そんなことはいいから早く登録してくれ!」


「はーい」


 レノは意地の悪い笑顔を浮かべながら2人をからかい、ポチを連れて冒険者登録をしに行った。


「本当に、レノのやついきなり何言い出すんだよな」


「ほ、本当ですよね。私達まだまだ若いですのにね」


 あはははと顔を真っ赤にして茶化すようにそう言う蓮人と、顔を真っ赤にして髪を手ぐしで梳かして気を紛らわせているリーである。もうこの光景にもなれてしまった。通常運転である。

 お互いモジモジしながらポチの冒険者登録が終わるのを待つ。

 5分程で2人は戻ってきた。レノの顔はニヤニヤしている。

 レノは2人が気づいていない気持ちに気づき、2人をおもちゃ扱いすることに決めたのだった。


 そんなこんなでポチの冒険者登録も無事(?)終わり、魔法の適正検査と装備を整えに向かうのだった。


 ポチの魔法適正は無属性魔法であり、そこそこの適正結果であった。もしかすると走って逃げていた時も無意識に無属性魔法を発動していたのかもしれない。

 また、ポチに重い装備をつけると動けなくなるので蓮人と同じ皮鎧にし、武器はナイフにした。素早く動き、ヒットアンドアウェイで戦ってもらうことになった。





 今日はもう日が暮れてしまうので依頼を受けていくのは明日からとなった。そして買い物の帰り道である。


「どうせならそのローブも新しくしたらどうだ?」


「そうですね、折角ですし」


 蓮人は何気なくそう言っただけなのだが


「嫌だ!」


 ポチはそう叫び、何かに怯えるようにローブのフードをグッと掴んで目深に被り、2人から少し距離を撮る。


「ど、どうしたんですか?」


 慌ててリーが近づこうとするが、近づいた分だけ離れて行く。


「おいら絶対このローブは脱がないからな!」


 普段とは違う切羽詰まった声でそう叫ぶ。

 蓮人とリーは顔を見合わせて頷き合う。


「分かったよ、俺達はもう何も言わないし脱がせもしないよ」


 優しい声音でそう言う。


「それならいいんだ」


 そう言ってポチはいつも通りに戻ったように見えるのだが、未だ警戒していることに蓮人は気づいた。


 (過去にあのローブで何かあったのかもな。なんにせよ掘り返さない方が良さそうだ)


 そのまま3人は宿に向かうのだった。


読んで頂きありがとうございます!

明日の投稿はお休みです。

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