165 皇都ギルドの協力を得て、異世界へ
「ムーラからの手紙にも邪神について書かれてあったし、筆跡も疑うまでもなくムーラのものだ。これは信じるしかないようだね……」
蓮人達はマニの呟きに無言で頷きを返す。
「この手紙にも詳しいことは君たちに聞くように、と記されている。それで早速なのだがその邪神について詳しく話してくれ」
「はい、分かりました」
こうして蓮人は邪神が復活してしまい居場所が分からないこと、ドス黒い瘴気の邪気とそれがモンスターにつくとより強力な力を持つようになり、その適正によってはキングスケルトンやバタちゃんのように自我を持つこともあるらしいということ。またモンスターにその邪気を振りまいているのはナイトメアという邪神の右腕の存在ということ。
それら全てを詳しく話した。マニはそれを難しい顔をして真剣に聞いていた。
「……ふむ、それではナイトメアを倒してしまえば邪神は完全な状態にはならないということなのだな?」
「おそらくはそういうことかと……」
「それでそのナイトメアがどこにいるかは分かっているのかい?」
「いえ、何も。ただ邪気にやられたモンスターは王都の近くと皇都の隣にある森にしか出現しておらず、他の場所では目撃情報すらないようです。
なので皇都から王都の間のどこかに潜んでいる可能性が高いと俺は考えています」
「なるほど……」
マニはそこで1度話を切り、空になっている蓮人達のコップへ紅茶をもう一度注ぐ。
そして各々喉を湿らせ、また会話を続ける。
「それで肝心な問題なんだがナイトメアとやらはどれだけ強いんだい?」
蓮人は完膚無きまで敗れたことを思い出したため言葉に詰まってしまうのだが、すぐに正直に話し始める。
「…………前に1度戦った時は、一撃を与えることすら出来ずにやられてしまいました」
「なっ!? Aランク冒険者である君がかい?」
Aランク冒険者といえばこの世界で最強にも近いし実力者である。そんな蓮人が何をすることも出来なかった相手なのだ、マニは驚きを隠すことが出来ず思わず体を乗り出してきた。
「……はい」
「そうなのか……どうやら私が思っていたよりもはるかに危険な状況のようだな。どうしてこの皇都を守るべきか……」
マニはすぐに切り替え、そのまま蓮人達を放り出して頭を悩ませていた。
蓮人はそんなマニを引き止める。
「待ってください。ナイトメアは俺が倒します」
そして堂々と宣言する。
「しかし君はさっき負けたと言ったではないか。本当にできるのか?」
マニは何かを試すようにじっくりと時間をかけて蓮人を見つめる。蓮人はそれから目をそらさない。
少し張り詰めた空気がその場を覆うのだが、リー達には何をすることもできずじっと待つだけだ。
そうして少し時間が経った後、マニはいきなり身にまとっていた真剣な雰囲気を完全に消し去り、笑みを浮かべながら口を開く。
「どうやら何か手があるようだね?」
「何か具体的な作戦があるわけじゃありませんが、あのときの俺でもないです。だから、俺が倒してみせます」
そんな宣言を聞いたマニは笑い声を上げ、話し始める。
「頼もしいじゃないか……よし、決めたぞ! この皇都のギルドも蓮人くん達に協力することを約束しよう。そして、君がそのナイトメアとやらを倒してくれ!」
「ありがとうございます!」
蓮人はマニからのその言葉が嬉しく、大きな声でお礼を言う。
「礼なんていらないさ。こちらとしても君に任せるのが1番確実だと思ったからさ。もちろん出来る限り協力するつもりだ。期待しているよ、そちらのリーさん方にもね」
「「「「「はい!」」」」」
蓮人達は元気な返事を返すのだった。
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