164 皇都のギルドマスターに会いに、異世界へ
こうして数時間後にもう一度全員が起き出した後ギルドへと向かっているのだが、
「やばいぞ、とりあえず急ごう!」
ギルドの方から来るように言われていた時間はお昼までだったのだが、現在空高く日が昇っている。そのため蓮人達はまとまってギルドへの道を走っているのだった。
「まさか皆あんなにぐっすりと寝ていたとは……」
ジュシュが頭についた寝ぐせを押さえつけている。
「本当だな、でもこれならギリギリ間に合いそう……ってかポチも起きてくれー!」
蓮人は未だにスヤスヤと眠っているポチを背負って走っている。
「見えてきましたよ! すいません、どいてください!」
リーが大声を上げて扉の前にたむろしている人に声をかけた。
「お、おう!」
その後に続く蓮人達の顔があまりにも必死だったからなのかすぐにどいてくれたので助かった。
こうして蓮人達はギルドへと転がり込む。
「はぁはぁはぁ……」
皆は息を整えていると、カウンターから出てきた受付嬢が蓮人へ話しかけてくる。
「ホワイトストライプスの蓮人さんでしょうか?」
「は、はい…………」
「お疲れのところ申し訳ありませんがギルドマスターがお待ちですので上の階にある部屋の方へご案内してもよろしいでしょうか?」
「お願いします……」
「ではどうぞこちらへ」
そのまま通された部屋ではギルドマスターらしき人物がソファに腰かけながら優雅に紅茶を飲んでいた。
「ギルドマスター、ホワイトストライプスの方々がお見えになりました」
「ありがとう、下がっていいよ」
「では失礼します」
受付嬢はそのまま一礼して部屋を出ていった。
「さあ、蓮人君達はこちらへ座ってくれたまえ。紅茶を入れよう」
「は、はあ……ありがとうございます」
こうして蓮人達はギルドマスターが座っていた対面のソファへと座る。
「うわ! すごいフカフカです!」
ソファのあまりのフカフカさに驚いていた。ガサラと王都のギルドマスターの部屋のソファにも座った蓮人達だがこのソファとは比べるまでもない。そして目に入る家具なども高級感に溢れておりかなりオシャレだ。思わずキョロキョロと見回してしまう。
「はい、紅茶が入ったよ。どうぞ飲んでくれ」
「ありがとうございます、いたただきます」
お礼を言って紅茶を一口。その瞬間口の中に茶葉の風味が広がると共に絶妙な苦味が後から来て非常に味わい深いものだった。
なんだかギルドにいるというよりはかなり高級でオシャレなカフェという感じだった。
「……美味しいです」
リーは思わず出てしまった
「気に入って貰えたならよかった。
それじゃあまずは自己紹介から始めようか。僕はこのギルドでギルドマスターをしているマニというんだ、よろしく頼むよ」
爽やかな笑みと共に蓮人へ向けて手が差し出された。蓮人はその手を握り返しながら自己紹介を始める。
「蓮人です。一応Aランク冒険者でホワイトストライプスのリーダーをしています」
「私は同じくAランク冒険者のリーです、よろしくお願いします」
「私がジリー、こちらがジュシュの姉妹で2人ともBランク冒険者です」
マニは一人ひとり手を取って握手をしていく。とても感じの良い笑みを浮かべておりこれぞ紳士という感じだ。ギルドマスターがこんな人であるからこそこのギルドは落ち着き払った雰囲気を持っているのだろうと蓮人は1人で納得していた。
「それで、今回の街の異常を引き起こした現況はリーさんが倒してくれたと聞いている。それについて詳しく教えてくれないかい?」
「はい、勿論です」
こうしてリーは、いきなり周りの人々がケンカを始めたことから始まりバタちゃんのことまであったことを話した。
「……なるほど。実際に起こったことである以上バタちゃんとやらは信じるしかないが、その邪神というのはどうしてもな……君たちを信じていないというわけではないのだが」
マニは難しい顔をしてそう言うのだが、邪神など突拍子もない話をされてはそうなるのも仕方ないだろう。
「蓮人さん、今こそあの手紙の出番じゃないでしょうか?」
「あの……そうか、ムーラから貰ってた手紙があります。それを読んでみてください!」
蓮人が王都を出発するときに預かったムーラからの手紙を渡すとすぐに読み始めた。マニは更に難しい顔をしながら口を開く。
「なるほど、信じるしかないようだ。今度は邪神について聞かせてもらえないだろうか」
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