134 皇都の図書館に、異世界へ
1度リトルトレントが現れてからは特に何も起きず、ゴブリン3体が現れた程度でリーとジュシュの魔法によって瞬殺された。
その日はもう少し進んでから野営をして1晩を明かす。
次の日のお昼をすぎた頃、蓮人達はリーン皇国の皇都へと計5日かけて到着したのだった。
「やっと着きましたね……楽しみです……!」
皇都へ入る門の前でジュシュはワクワクが止まらないとばかりにソワソワしている。
「もう少し落ち着きましょう……と言いたいところですが私もこの国の魔法がどうなのかとっても気になってワクワクが止まりません」
ジュシュの横でリーまでワクワクしていた。
しかし、リーン皇国は中々栄えているようで、中に入るためのチェックを受けるのに長蛇の列が出来ていた。
「やっぱ、そう簡単に中には入れないのか……大人しく並ぼうぜ」
そうして列の最後尾に並んで約2時間が経った頃、やっと中へ入ることが出来た。
その後の行動はやけに迅速だった。
「蓮人さん! 今夜の宿などは全てお任せしますので私とジュシュさんは皇立図書館へと行ってきます!」
2人はそう言うやいなや5日間の野営の疲れを見せつけない足取りで周りの中でも一際大きな建物へと歩いていくのだった。
「ちょっと待てよ! それじゃどこに帰ればいいのか分からないだろ……ってもう見えないし」
もはや蓮人の声掛けも届かず人混みに消えていったのだった。
ちなみに日は暮れかかっている。
「とりあえず、私たちで今夜の宿を取りに行こう。時間が時間だしこの人だから急がないと宿が無くなるかも。2人はその後で図書館まで迎えに行けばいいよ」
「しょうがない、そうしようか」
そのとき、ポチの腹の虫が盛大な音を鳴らした。
大通りの道では道沿いに様々な屋台の料理が並んでおり、いい匂いが立ち込めている。
「お腹も空いたし屋台で買い食いでもしながら宿を探そう」
こうして蓮人、ジリー、ポチの3人は大通りの道を屋台で買ったご飯を食べながら歩いていくのだった。
「ふー、なんとか部屋が取れてよかったなぁ」
蓮人はベッドへと飛び込んでそう言う。
「まさか行ったところどこも埋まっていたとはビックリだったね。このままだと街の中で野営になるかもしれないところだったもんね」
オリビアはテーブルのソファに腰を下ろしてそう言った。
ポチもその横に座って美味しそうなタレの匂いのする串焼きを美味しそうに頬張っている。
「たまたまこの部屋のキャンセルが出てて助かったよ。まあ大部屋一部屋しか取れなかったんだけどなぁ」
今までは男女別で2部屋取っていたのだが流石に2部屋は空いておらず、たまたまキャンセルの出たこの大部屋だけ取ることが出来たのだ。
「まあ仕方ないよ。それより2人を迎えに行こうよ」
「そうだなぁ、行くか!」
フカフカのベッドと心地の良い睡魔に未練はあるがそれを振り切って勢いよく体を起こす。
そうして3人で一際大きな建物へ向かうのだった。
「しっかし広いなぁ、こんなんじゃ2人がどこにいるのか分からないぞ……?」
蓮人達の目の前には本がキチキチに詰め込まれている2メートルを超える本棚が何十列と続いていた。
「こ、ここまでとは思わなかったわ……」
「2人のことだから魔法に関する本のはずだよ、そこに向かおう」
本棚に記されている分類を頼りに探していく。
魔法に関する本だけでも100を超える列があったのだが、何とか2人を見つけることが出来た。
2人は本を手に取って熱心に読みふけっており、蓮人達が近づいているのにも気づかない。
「おーい」
小さな声で呼びかけながら肩を叩くと素っ頓狂な声を上げてこちらを振り向いた。
「も、もう! 驚かさないでくださいよ!」
「そうですよ!」
「2人とも気付かなかったんだから仕方ないって。それより何かいい本はあったのか?」
「よく聞いてくれました! ここには昔の文献なども残っていて初めて読む本がいっぱいあるんです! 蓮人さんに向いた火属性魔法に関する本をありましたよ!」
ジュシュは興奮いっぱいで蓮人に本を手渡してくる。
礼を言って受け取り、パラパラとページをめくってみると中身は絵や図がたくさん入っており字が少なかった。どんなイメージを持っているのか問いただしたい気はしたが分かりやすそうなので何も言わなかった。
「どうせだしもう少し皆で読書でもしてから夜ご飯にしようか」
「はい!」
こうして各々読書の時間を楽しむのだった。
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