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勇気をもって、異世界へ  作者: レイン
133/170

133 リーン皇国領内に入って、異世界へ

 蓮人達一行は歩きながらジュシュの話を聞き、現れてくるモンスターを倒しながらリーン皇国への道のりを進んで行った。

 モンスターの現れる頻度は高く何度も足止めを食らうもほとんどがゴブリン、稀にワイバーンが現れる程度で大した時間をかけることもなく龍の峠への頂上へと到着した。

 そのタイミングで太陽が丁度てっぺんに昇っていたため、お昼休憩をとることになる。


「ここが頂上なんですか。やっぱりもう龍神様はいらっしゃらないんですね、会ってみたかったです……」


「いや、それで良かったですよ……いたらまた体が震えて立てないですもん……」


「龍神様ってどんな姿をしていたんですか?」


 少し残念そうに呟くジュシュだが、身をもって龍神の放つ覇気を体験しているリーは困ったように返事を返すというやり取りをしていた。

 その間、ポチは壊れて瓦礫となってしまった龍神の石像をただじっと眺めていた。


「ポチ、そんなに瓦礫ばっかり見てどうしたんだ?」


「なんだか分からないけどすごく気になるんだ」


「そういや、依頼を受けたのに瓦礫とかを探して調べてなかったんだよな……もう遅いけど今やっとくか」


 こうして蓮人は心の中でムーラへと謝罪をしながらポチと一緒に注意深く瓦礫を探る。

 かなり大きい瓦礫もあり中々持ち上げることは出来ず全てが全て見れた訳では無いのだが、おおまかに見終えたが蓮人の目には何も止まらなかった。


「なんか見つかったか?」


「ううん、何も無かったよ……」


 ポチは何も無いのはおかしいとばかりに首を捻っている。


「やっぱりこの石像が壊れたのは龍神様のせいなのかもな。そのときの龍神様の覇気なのか何か別の力なのかが残っててて、それをポチに何か変な違和感を感じさせてるんじゃないか?」


 蓮人の言葉にポチは納得した様子はあまりないのだが、ひとまず頷いていた。


「まあ何も無かったわけだしそろそろ出発しようぜ」


 蓮人はそう言ってポチの背中を押してリーたちの元へ戻る。

 そうして10分後、リーン皇国へと繋がる坂を下っていく。

 結局、大きな瓦礫の下からほんの少し、しかもかなり薄いのだが黒い瘴気が立ち昇っているのに気づくことは無かったのだった。




 こうして無事に龍の峠を越え、国境を越えて現在はリーン皇国内を歩いている。

とはいってもウェスナ王国を歩いていた時とたいした変わりはなく、同じような景色がひたすら続いていた。

 もう出発してから3日目であり、さすがにジュシュも話すことがなくなったのか先程から静かに歩いており、のんびりとした時間が流れている。


「暇だなぁ」


「モンスターも落ち着いたみたいなのかそんなに出てこなくなったし、これくらいが1番いいよ!」


 蓮人が思わずこぼしてしまった呟きにジリーのツッコミが入った。


「まあそれは確かにそうなんだけどさ、同じ景色が続きすぎて飽きてきたんだよな」


「そんなこと言っちゃダメですよ! 気を弛めすぎるのもダメです!」


 リーからの注意も入ってしまった。

 そして、蓮人の呟きでフラグが立っていたのだろうか?

 道の横にあるちょっとした茂みから何かが蓮人に向かって飛び出してきた。

 それを上へ飛ぶことで何とか避けることが出来たのだが、派手な音と共に地面が切れていた。


「なんだ!」


 蓮人は何かが飛び出してきた方向を見る。

 そこには木の枝に乗った小さなモンスターがいた。


「あれはおそらくリトルトレントです!

 トレントの成長する前の姿で根を下ろす場所を探すために小さな子供のような姿をしており素早く動き回ります!」


 物知りなジュシュが素早くモンスターの正体を見破る。

 その間にリトルトレントからまたも何かが発射された。

 それは空気で出来たブーメランのような形をしており、それが真っ直ぐ蓮人に向かって発射されていた。


「それはおそらく風属性魔法です! 私に任せてください! ウインドアロー!」


 同じく風属性魔法の適正を持つリーは杖を構え、魔法を唱える。

 5本の風の矢が生み出され、内4本が時間差をつけて放たれる。

 リトルトレントはその風の矢を避けるため、1箇所だけ不自然に空いた場所へ飛び込んだ。


「かかりましたね! いけ!」


 その不自然に空いた場所はリーの罠だった。

 残っている1本の風の矢がそこへ飛び込んでいるリトルトレントの胸へと突き刺さる。

風の矢は胸を貫通し、1発で絶命させた。


「お見事!」


 あまりの手際の良さに蓮人は拍手をする。


「お見事! じゃないですよ! 蓮人さんが暇だなんて言ったせいですからね!」


 リーは頬を膨らまして少し怒る。

 そんな顔もかわいいな、なんて思いながらお叱りの言葉を受け入れるのだった。


 その横でジュシュは、


「普通のモンスターでもあんな簡単に魔法を使うなんて……やはりリーン皇国はすごいです!」


 そう言って興奮しているのだった。

 リーン皇国とモンスターが魔法を使えることにあまり関係があるようには思えないのだが、そこは黙っておく。

読んで頂きありがとうございます!

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