132 リーン皇国に向かって、異世界へ
ジリーとジュシュがホワイトストライプスに加入してから1日が経ち、2日後の早朝、王都の大きな門での前である。
「よし、皆準備はいいよな?」
「はい! 早く行きましょう!」
蓮人の問いかけにジュシュは嬉しそうな声で急かしてくる。
「落ち着きなさいな、遊びに行くわけじゃないんだよ?」
ジリーはお姉さんらしくそんなジュシュを抑えるのだが、興奮は収まらないようだ。
「まあいいじゃないですか、私も魔法を使う身としては気持ちは分かりますよ」
そういうリーもどこかそわそわとしているように見える。
「リーン皇国は魔法が発展してるんだったけ? 前から行きたいって言ってたもんな」
「そうです! まさかこんなに早く行けるようになるなんて……」
ジュシュは目をキラキラさせている。そんな様子に思わず皆から笑みがこぼれた。
「も、もう! 笑わないでくださいよ! 早く行きましょう!」
「待ちなさい! 1人じゃ危ないよ!」
龍の峠へと繋がる道を駆けて行くジュシュをジリーが後ろから追いかける。それを見ている蓮人達にはまた笑いが生まれるのだが
「早く来てくださいよー!」
ジリーに首根っこを掴まれているジュシュからそう呼ばれた。
「ああ、今行くよ!」
こうして龍の峠への道を歩いていくのだった。
龍の峠に繋がる道はつい3日前に通ったところなので特に変わりはないと言いたいところなのだが、実際には全然様子が違うかった。
この前は龍神がいたという影響によってほとんどモンスターがいなかったのだが、今ではビックリするほどの量のモンスターで溢れかえっていた。
こんな話をしている間にも蓮人は刀を抜き、斬り掛かる。
相手はゴブリン3体だ。もはや無属性魔法を使うまでもない雑魚である。
一瞬で肉薄した蓮人は無造作に刀を斜めに振り下ろす。
あまり力を入れていないにも関わらず刀はスッと入り込みゴブリンの体を真っ二つに切り裂いた。
残りの2体は同じく肉薄しているポチのナイフによって首を1突きされたことと、リーの放つウインドアローが体を貫通したことによって絶命していた。
「ふーっ、雑魚ばっかりだけどこんなにも出てこられると嫌になってくるな」
蓮人は刀についたゴブリンの血を振り払って鞘に戻す。
「本当ですね。龍神様がいた事で隠れていたモンスターが一気に活発に動き出したってところでしょうか?」
リーが蓮人の横に寄ってきてそう話しかける。
「多分そうなんだろうなぁ。ずっとこの調子でモンスターが出てくるならどれだけ時間がかかることやら……」
「まあそう言っても仕方が無いですよ、テキパキ歩いて行きましょう!」
ジュシュに負けず劣らずリーン皇国に行くことにワクワクしているリーの言葉に頷き、歩を進めるのだった。
また、その道中では前回同様ジュシュの独り舞台が開催されていた。
「……というわけでそのリーン皇国出身の魔法使いの方は闇属性魔法の適正を持っている訳でして、闇属性魔法の特徴である状態異常魔法を駆使して1人で100匹を超えるモンスターを倒してしまったんですよ!」
このようなリーン皇国出身で歴史に名を残しているようなすごい魔法使いの話をしたり、
「ミスリルという素材は軽く硬いため剣の刀身や胸当て、盾などによく使われています。確かにそれも重要なのですが、実はミスリルは魔力の伝導率も非常に高いんです!
ですので、ミスリルを杖などの魔法の発動媒体に用いると消費魔力は減り、威力も上がるのです!」
リーン皇国でよく取れるミスリルの装備についての話がひたすらに繰り広げられているのだった。
こうして蓮人達は時に現れるモンスターを倒し、話しながら道を歩いていく。
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