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勇気をもって、異世界へ  作者: レイン
124/170

124 決意を胸に、異世界へ

 「そ、それでその邪神を倒すのが俺、なのか……?」


 蓮人は驚きから立ち直り、掠れる声で龍神に尋ねる。


『神の予言ではそうなっているな。だから我が直接お前の力を試させてもらったのだから』


「そんな世界の命運を握るような役、俺には荷が重すぎる気が……」


『それは大丈夫だ。我にこんな傷を負わせることが出来たんだからな』


 そうして真っ二つに切られた角と目の傷を見せてきた。


「それは、その……すいません」


『謝る必要は無い、殺す気でかかってこいと言ったのは我だからな。むしろ誇るがいい。この世界の神である我に傷を負わせられるものなどそうそういない。

 そもそも、我の前でも膝を屈せずに立っていられる時点で異常なのだぞ?』


 龍神はリーに目をやりながら言う。確かに、リーはまだ立ち上がることも出来ていない。


「もしかして、ポチも龍神様の力を感じてあんなことに……?」


『ポチとは確か獣人族の子供であったな? おそらくそうだろう。神人族の一員である者ならば神の力をより強く感じるはずだ』


「なるほど……」


 ポチの異常なあの反応には納得したが、だからといって自分の役割にまで納得できる訳では無い。


「でも俺まだこの世界に来て2ヶ月かそこらでそんな重要な役、荷が重すぎるよ。絶対俺がやるべきじゃない」


 龍神から無言で突き刺さる視線を浴びせられる。


『……別に荷が重い、やりたくないというのであればやらなくても良い。それならばアルフェウムが闇で閉ざされ人族も全て滅びるというだけだ。大したことは無い』


 本当に大したことは無いと感じられる声音で頭に伝わってきた。


「大したことあるだろ! それこそ神様が何とかするべきじゃないのかよ!」


『神に神は殺せない。それができるならはなから貴様になど頼んでおらん』


「なんなんだよ、それ……」


 蓮人はやるせない気持ちを吐き出すように呟く。


『本当に、やりたくないというのならばやらなくてもよい。そんな中途半端な気持ちでやったところで邪神を倒せるわけはないからな。

 だが、この世界に来てから2ヶ月足らずのことを思い出してみるがいい』


 蓮人は龍神のその言葉にハッとして顔を上げた。

 そして蓮人の頭には様々な出来事がよぎってくる。

 初めてリーと会って、ゴブリンから助けてあげたこと。

 一緒にパーティーを組んだこと。

 ポチとガサラの街で出会ったこと。

 ポチの親を探すために獣人族の村へと行ったこと。

 オリビアと出会い、一緒に獣人族の村へと行ったこと。

 ジリーとジュシュと出会い、スケルトンの群れと戦ったこと。

 その他にもガサラのギルドマスターやリルムなど蓮人を助けてくれた人達。

 これらのことで蓮人の頭が埋めつくされた。


『短い間に沢山の出会いと出来事があったはずだ』


 龍神の言葉に蓮人は頷き、口を開いた。


「そのおかげで、俺は、俺の居心地のいい居場所が出来たんだ」


 リーと結成したホワイトストライプス。


「俺の居場所は、この世界なんだ」


 蓮人の言葉がドンドンと力強さを取り戻してくる。


「だから、俺がこの世界を守るんだ」


 そう強く言い切った蓮人の目は、時に蓮人を覆い尽くすあの聖なる白い光のような、強い光を放っていた。

 その光を感じ取った龍神はどこか微笑んだような気がした。


『それでいい。今のお前ならば邪神を倒すことも夢ではないはずだ。期待しているぞ』


 龍神の激励に蓮人は大きく頷く。


『良い顔になったな。よし、我からの餞別をくれてやる』


 そうして渡されたのは蓮人が叩き切った角だった。


「これは、角?」


『この角を、お前の持つ刀を作った者に渡せ。そうすれば強化してもらえるだろう」


 刀と角に何の繋がりがあるかは分からないがとりあえず受け取っておくのだった。

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