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勇気をもって、異世界へ  作者: レイン
118/170

118 モンスターが消えて、異世界へ

 「よし、何とかなったな」


 そう呟く蓮人に離れて見ていたリー達が駆け寄ってきて


「大丈夫ですか?」


「大丈夫?」


「あのAランクモンスターのドラゴンを1人で倒しちゃうなんて……やっぱり蓮人さんはすごいです!」


 と言った言葉をかけてくる。


「大丈夫だよ、ありがとう。

 それで、ドラゴンって龍の峠にいるかいないかのモンスターって話だったよな」


「そうですね、龍の峠の頂上にいると言われていました。実際に遭遇した人は聞いた事なかったですけど……。

 とりあえず、そんなモンスターがこんな所にいるってことは何か異常が起こっているというのはもはや確実でしょうね」


「やっぱりそれしか考えられないよな」


 蓮人はそう言って空を見上げた。

 日が傾き始めてはいるが日暮れまでには時間があるようだ。


「よし、今日は行ける所まで行って、明日問題の石像の所まで行けるようにしよう」


「じゃあ急ごうか、今なら上手く行けば日暮れには麓に着くことができるよ」


 蓮人達は龍の峠への歩みを進めるのだった。





 「ねえ、何か変じゃない?」


 歩いている途中、ポチが口を開いた。


「そうだな、ドラゴンを倒してからモンスターが出てこないし、存在している気配すらない。何か変だな」


 蓮人のその言葉にポチは首を横に振る。


「それはそうなんだけど、違うんだ。

 何か心をキュッとされるってゆうか、変なんだ」


「大丈夫?体調が悪いの?」


 胸を押さえつけてそう言うポチにリーは尋ねる。


「体調は大丈夫だよ。でも近くなれば近くなるほど胸がキュッてなって苦しくなってくるの」


「うーん、俺は特に何も感じないなぁ」


「私も大丈夫です」


 皆ポチの言葉に首を横に振っており、息苦しさを感じているのはポチだけのようだった。


「とりあえず、大丈夫じゃなくなる前に早く言ってくれよな」


「うん、分かった」


 いつものような元気はなく、静かな返事だけが返ってくるのだった。




 そうして龍の峠へとまだまだ歩いていく一行なのだが、本当にモンスターがいない。

 ドラゴンを倒して以来、パッタリと現れなくなったのだ。


「こんなにモンスターが出ないのってどう思う?」


 蓮人は後ろを振り向いてみんなに尋ねる。


「うーん、さっきまでのモンスターの出現率が異常だっただけで、今が普通なような気がしてるんだけど、その線は?」


「それなら、周囲からモンスターのいる気配くらいはするもんだ。でも、それすらもなく、本当に1匹たりともモンスターがいないんだよ」


「確かに、そこまで行くと異常か……」


 皆歩きながら可能性を考える。


「モンスターのエサになるものがなくなったからここまでモンスターが降りてきていた、というのは有り得ませんか?」


 リーはそう言う。


「それも一理あるけど、何かドラゴン以上のモンスターが現れて、そいつが全部のモンスターを狩り尽くし、何とか逃げてきたモンスターがここにいたっていうのも有り得ると思う」


 ジリーはリーの意見にそう返した。


「うーん、どっちも有り得るので、実際に見てみないと分からないですね。

 あ、龍の峠が見えてきましたよ!」


 目の前には緑の覆い茂った峠広がっていた。

 緑が覆い茂っているのだから動物やモンスターも数多く存在しているはずだ。

しかし、それらの鳴き声や移動する音は全く聞こえず、風によって葉が揺れて擦れる音しか聞こえなかった。


「かなり不気味ですね……」


「実際に龍の峠に来るのは初めてだけど、これが異常なのは分かるよ。生き物の気配が全然しない」


「そうだな。でもとりあえず今日はここで野営することにしよう、もう日が暮れてきてるしな」


 蓮人のその一言に皆頷き野営の準備を始めるのだが、この異常事態に口数は減り、どこか重苦しい空気が流れるのだった。

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