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勇気をもって、異世界へ  作者: レイン
107/170

107 二手に分かれて、異世界へ

 一方、蓮人から離れたリー達である。

 4人は騎士団や冒険者達のところへ行くために、道を塞いでいるスケルトンの群れを上手く連携して倒していく。


「大丈夫ですか!」


 騎士と共に剣を振るっている騎士団長を見つけたリーはウインドアローを放って援護しながら尋ねる。


「こちらは大丈夫だ! そちらは?」


「蓮人さんが1人で相手をしてくれています。

 絶対大丈夫なはずです、だから今はこのスケルトンを早く倒してしまいましょう!」


 リーはそう自分に言い聞かせるように口に出し、また魔法を放ってスケルトンを倒していく。


 リー達が来たことによってスケルトンの大群の殲滅速度は飛躍的に上昇した。

 ほとんどのスケルトンを倒すことに成功し、スケルトンは復活した瞬間に近くにいる冒険者や騎士から斬られるか魔法で焼かれてまた倒れていく。


 そうして余裕が生まれ、リーが蓮人の方へと目をやった時に事態は動き出した。


 キングスケルトンが杖先から膨大な魔力を解き放ったのだ。

 リーが今までに感じたことのないほどの量と質で背筋が凍りつき、目線を離すことができない。

 そんなリーを置いて、空が闇で覆い尽くされていく。そして月も星も空に全く浮かんでいないときの夜が生まれた。


「おい、なんでいきなり暗くなったんだ?」


「まあ夜の方が涼しいし、いいんじゃないか?」


 真っ暗になった空を見ながら呑気に話をしている冒険者の横でスケルトンがまた復活した。

 話をしていた1人の冒険者がそのスケルトンへ向かって適当に剣を構えて振り下ろす。

 今まではその一撃だけでスケルトンは為す術もなく倒れ伏していた。

 しかし、今回はそううまくはいかなかった。スケルトンの持つ刃こぼれしている剣に受け止められたのだ。


「なに!?」


 危険を感じて後ろへ飛ぼうとする冒険者だが、その前にスケルトンの骨の足によって腹を思い切り蹴られて吹き飛ばされた。

 重い鎧を着ているはずの冒険者だったが、骨の足に蹴られただけで1メートルは吹き飛ばされている。

 フォローに入った2人の冒険者が、1人がスケルトンと剣を合わせている間にもう1人が後ろから斬り伏せるという作戦の実行によって無事に倒すことが出来た。

 そしてその2人が一息ついて蹴られた冒険者に手を貸して起こした時、さっき倒したはずのスケルトンが復活した。


 それに驚きながらもすぐに剣を抜いてまた斬り伏せることに成功した。

 しかし、その横でもまたスケルトンが今までとは比較できない速度で復活し始めており、すぐに斬りかかってくる。

 その攻撃に冒険者や騎士達は剣を合わせて防いでいた。しかし数の差もあり、なかなか攻撃に転じることが出来ない。


「おい、何でこんなに一気に復活するようになったんだよ!」


「やばいぞ!」


「しかもこいつらさっきより強くなってやがる!」


 そんな声がそこかしこから上がる。


「リー! しっかり!」


 リーはそんな声を聞いて我に返った。

 その目の前には盾を構えてスケルトンの剣を防いでくれているジリーの姿があった。


「は、はい! ウインドアロー!」


 風の矢を生み出してスケルトンを撃つ。今までは1本で倒すことの出来ていたのが2本で撃たなければ倒すことが出来なかった。


 (やっぱり、強くなってる……)


 アンデッドは夜になると強くなるという特性があることを思い出しながらリーは魔法を放って倒していく。

 しかし、一向に数が減る様子がない。


 そして蓮人のいる方角からはより強くなった禍々しい魔力を感じていた。 蓮人らしき聖なる魔力も感じられてはいたが大きさが全然違う。

 それにリーの胸にはずっと不安が渦巻いているのだ。胸騒ぎが止まらない。

 そのためかリーが放つ魔法も精細を欠いていた。

 リーはそれに気づいていないようだが、ポチやジリー、ジュシュは気づていた。そして3人は顔を見合わせて1つ頷く。

 ジリーは襲ってくるスケルトンを盾を勢いよく叩きつけることで吹き飛ばして口を開いた。


「リーは蓮人の方へ行って!」


「で、でも!」


「こっちはジュシュとポチがいれば何とかなるから! 蓮人の加勢に行ってあげて!」


 その言葉にリーは一瞬迷う素振りを見せるがすぐに心を決めたようだ。


「はい! すぐに終わらせてくるので待っててください!」


 リーはそう言って背を向けて魔力を解き放つ。


「風よ!」


 そう唱えた瞬間、突風がリーを持ち上げ、蓮人の方へ吹き飛ばす。

 それを見ていたジリーとジュシュは驚きを隠せないがすぐに笑みを浮かべた。


「さあ、帰ってくるまで頑張ろう!」


「うん! おいらも本気出すぞ!」


 ポチは元気いっぱいにそう答え、ケモノのような雄叫びが戦場に鳴り響くと共にポチの体を光が覆う。その光が収まったところにはオオカミのようなケモノ姿をしたポチの姿があった。

 そう、獣化である。


「アウォォォォォォォ」


 そう声を上げてポチはスケルトンの大群へと飛びかかっていく。

 それを見たジリーとジュシュはまた驚いていたが、また笑みを浮かべた。


「ウチらも頑張るよ!」


「うん!」


 ジリーとジュシュもスケルトンの大群へと立ち向かう。

読んで頂きありがとうございます!

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