105 キングスケルトンとの一騎打ちに、異世界へ
蓮人とキングスケルトンは睨み合ったまま動かない。
「ソノ、ウットウシイ光ハナンダ?」
キングスケルトンは蓮人に尋ねてきたが、その間も隙はない。
蓮人も隙を作らないように気をつけながら返事をする。
「さあ? 俺にもよく分かってないんだ。ただ体が光り出すと力が湧いてきて、今まで以上に強くなるってことだけは分かってる」
「ソレハオモシロイ。デハ試サセテモラオウ」
キングスケルトンは杖を横に大きく振る。すると、杖の通った所から無数の闇の球体が発生する。
「なるほど、魔法勝負か?」
蓮人も同じように刀を横に振ると、そこには同じ数同じ大きさの火球が生み出されていた。
「イケ」
「行け!」
同時に杖と刀を前に突き出し、魔法を放つ。
速度は全く同じで両者の中間で激突して相殺、爆発を起こす。
砂煙が舞い視界が全く見えないが蓮人は動かず攻撃に備えている。
そして何事もないまま砂煙が晴れていく。
そこには同じように構えているだけのキングスケルトンの姿があり、両者の間では爆発によってエグれた地面があった。
「互角、トイッタトコロカ」
キングスケルトンのその声に蓮人を首を振る。
「いや、違うな。俺の得意武器はあくまでも刀だ。でもお前はあくまで魔法がメインのはずだ。
このハンデはデカいぞ?」
今の状態であればドス黒いオーラも貫通できると確信しており、近距離戦になれば蓮人が有利なのは確実だ。
しかし、
「誰ガ得意ナノハ魔法ダケト言ッタノダ?」
理解しがたい言葉が聞こえた。
「確カニ魔法モ得意ダ。デモ、本当ニ得意ナノハコレダ」
杖の先に黒い色をした刃渡り40センチメートル程の刃が生み出された。
薄く奥が透けて見えているので、おそらく魔力で生み出されたものだろう。
「コノ魔力デ作リ出シタ槍ガ得意武器ダ、残念ダッタナ」
あまり状況を理解出来ていない蓮人にキングスケルトンは飛びかかり、突きを放つ。
その速さはかなりのもので蓮人は辛うじて避けることに成功した。
「マダマダ遅イゾ」
何度も何度も槍が振るわれる。
蓮人はそれに刀を合わせて軌道をずらすことで攻撃が当たらないようにしている。
しかし、そのため蓮人が攻撃する暇がないのだ。
「ドウシタ、ソノ程度デハ俺ヲ殺スコトハ出来ナイゾ」
キングスケルトンからもそう言われるが、攻撃の手は休まらないどころかより速く、鋭くなってきている。
(やばい、そろそろ押し込まれそうだ)
突きへの対処が遅れてきており、蓮人の体にかすり傷がつき始めている。
(魔力が持つか不安だが、やるしかない!)
体に流れる魔力を増やし、無属性魔法を強化する。
そうして更に上がった身体能力で槍の突きを横へのステップでかわし、そのまま刀で勢いよく槍を斬り上げる。
キングスケルトンはそのまま体勢を後ろへと崩し、たたらを踏む。
「今だ!」
キングスケルトンの目の前に踏み込み、胴体を薙ぐように刀を横に一閃。
今回の一撃は、今までのように瘴気に止められたのではなくしっかりとダメージが手応えが手のひらにあった。
しかし、その手応えはかすった程度のものだった。
キングスケルトンはたたらを踏みながらも刀が当たる瞬間に地面を蹴って後ろに飛んでかわしていたのだ。
しかし、それだけでも成果である。
何しろ瘴気を超えてダメージを与えられることが分かったのだから。
(これなら、やれる!)
やっと見えてきた勝機に蓮人は自分を奮い立たせる。
そんな蓮人の様子を体勢を整えたキングスケルトンは赤い点のような目で見ている。
「マタ強クナッタナ。一体何者ナンダ?」
「それはこっちこそ聞きたいね」
「マア、イイダロウ」
キングスケルトンはそう言って蓮人から視線を外し、周囲を見回す。
「我ガ眷属ガヤラレテキテイル」
そう呟いた。
確かに、騎士団や冒険者達の頑張りによって大半のスケルトンは討伐されており、復活してもすぐに倒されている。
「仕方ナイカ」
そう呟いた瞬間、魔力で出来た刃の部分を消し、膨大な魔力を解き放つ。
「ナイトワールド」
そう呪文を唱えた。
その瞬間、真昼間だったはずの空が月もない真夜中のように真っ暗になった。
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