103 連携して、異世界へ
「うおおおおおお!!!!」
蓮人は吠えながらキングスケルトンに斬りかかっていく。
キングスケルトンはそれを避けようともせずただドス黒いオーラを漏らしながらただ立っているだけだ。
(何かおかしい……でも今更止まれるか!)
蓮人は更に加速して飛び上がり、刀を振り下ろす。
――――ガキイイイイン
(は……?)
蓮人は何が起こったのか理解出来ないが、勢いよく振り下ろされた刀が片手で持っているだけの杖に弾き飛ばされたのだ。
そして胴体がガラ空きになってしまう。
「終ワリダ」
先程の闇の球体よりも一回り大きなものが瞬時に生み出された。それが隙だらけの蓮人へと発射される。
キングスケルトンは骨しかないが勝ちを確信したようにニヤリと笑ったように感じられた。
――――バァァァァァァン
また派手な爆発音が鳴り響き、煙が巻き起こる。
しかし、蓮人の体には一切のダメージが通らず、無事に着地することが出来た。
「昨日あれだけ連携がどうとか言っておいて、いきなり突っ走るのか、バカなのか」
煙が晴れた時、目の前にはまたも大きな盾を構えたジリーがいた。顔はイライラしてとても怒っている。
「あ、ああ……悪かった。ついカッとなっちまった」
こう話している間にもジリーとジュシュは息を合わせてアクアカッターを同時に放って、キングスケルトンに追撃する暇を与えない。
何発も放ったアクアカッターは全て杖先のドス黒いオーラによって霧散させられたが、意識を蓮人から逸らすことには成功したようだ。
そしてその後ろからはポチが音を立てずに忍び寄っていた。
そのまま逆手に持ったナイフをキングスケルトンの首筋に突き刺そうとする。しかし、この攻撃は体に纏っているドス黒いオーラが刃を通さない。
ポチはそう分かるやいなや後方へ大きくジャンプして距離をとり、蓮人達の元へと戻ってきた。
「皆、助かったよ」
「本当、その1人で突っ走るくせは治してくださいよ? 今はこんなにも人がいるんですから」
リーからそう言われた。
目の前にはジリーが、横にはポチが、後ろにはリーとジュシュがいる。1人で全てをやりきる必要はないのだ。
そう思うと蓮人の顔には笑みが浮かんでしまう。
「ああ、そうだな。皆で協力してあいつをやっつけようか!」
蓮人のその言葉に皆は元気良く返事をして頷く。
「モウイイカ? 今度ハコチラカラ行クゾ」
数十個の闇の球体がキングスケルトンの上空に生み出された。
それらが蓮人達に向かって一斉に打ち出される。
「リー、ジュシュ! 魔法で撃ち落とすぞ! ジリーはポチを盾で守ってやってくれ!」
蓮人の出した指示に皆は瞬時に反応し、それぞれ動き出す。
「ウインドアロー!」
リーは何十本もの風の矢を生み出し、闇の球体にぶつけて相殺している。
「アクアカッター!」
ジュシュはブーメランのような水刃を生み出して、それで闇の球体を真っ二つに斬って爆発させている。
「パワーシールド!」
ジリーはそう唱えて自分の盾の防御力を上げて迫り来る闇の球体やその爆発を耐え忍んでいる。
「炎よ!」
蓮人は右手を突き出し、そして手のひらから炎を生み出す。
魔力を練ることが出来ていないため、威力は先の2発に比べると落ちているが、それでも魔力を振り絞って闇の球体を燃やし尽くしていく。
「マサカコレモ対処シテシマウトハナ。フフフ、オモシロイ。カカッテコイ」
キングスケルトンは杖を下ろして両手を広げて無防備な姿を晒してくる。
「皆、いくぞ!」
蓮人のその掛け声と共に、蓮人、ジリー、ポチが駆け出す。
その後ろからリーとジュシュがアクアカッターを唱え、キングスケルトンへと撃ち出す。
アクアカッターが当たる瞬間、体を纏っているドス黒い瘴気がその部分に集まり、それ以外の部分は薄くなった。
蓮人とポチはそうして生まれた一瞬のチャンスを逃さない。
蓮人は胴体の中心を、ポチは蓮人の頭をジャンプした飛び越え喉元を狙って、それぞれの武器で突きを放った。
(これなら!)
蓮人は手応えを感じて力を込める。
「甘イナ」
キングスケルトンからそんな言葉が聞こえたきた。その瞬間体から今までとは比にならない程のドス黒い瘴気が溢れ出て、そのまま蓮人とジリーとポチを吹き飛ばした。
「大丈夫ですか!」
リーとジュシュが駆け寄ってくるが、そんなことに反応する暇はなかった。
「おいおい、マジかよ……」
そこには先程までとは比べ物にならないほどの力を放っているキングスケルトンの姿があったからだ。
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