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勇気をもって、異世界へ  作者: レイン
101/170

101 時間を稼いで、異世界へ

 蓮人は刀を鞘に戻し、目を瞑って魔力を練ることだけに集中している。


 (まだだ、まだ足りない。こんなんじゃ1発で黒いローブのやつのところまでいけない……)


 時間を稼ぐために戦ってくれている仲間のことを考えながらも魔力を練り続ける。



 リー達は時間を稼ぐために、倒しても倒しても復活する無数のスケルトンを相手に1歩も引かず戦い続けていた。


「もう少し、もう少しだ!」


 蓮人の言葉にリー達は笑みを浮かべて大きく頷き、またスケルトンと向かい合うのだった。


 そして1体がジリーへと剣を振り下ろす。ジリーは危なげなくそれを盾で受け止めるが攻撃に転じることが出来ず、隙が出来てしまっている。


「ウインドアロー!」


 リーはその膠着状態を見て、そのスケルトンに向けて風の矢を放ち、1発で粉砕する。

 粉砕された骨は風に乗ってそのまま遠く後ろの方へ飛んでいく。

 そんなことをしても復活するのにかかる時間が少し伸びるだけで根本的な解決にはならないが、時間稼ぎには十分だ。

 なにしろリー達は蓮人の魔力を練る時間を稼ぐことが目的なのだから。


「助かった、ありがとう」


 ジリーは律儀に礼を言う。

 もちろん次に襲ってくるスケルトンの攻撃を盾で弾き返し、そのまま勢いよく盾で殴りつけることで骨ごとバラバラにしている。


「いえ、もう少しです、踏ん張りましょう!」


 リーとジリーは顔を見合わせて頷きあい、またスケルトンへと向かっていく。




 一方ポチとジュシュのペアである。

 不安要素が強く思われるのだが、こちらもしっかりと連携をとることが出来ていた。


「ジェットウォーター!」


 ジュシュが杖の先から水を生み出し、水鉄砲のように発射してスケルトンへと命中させていく。

 その水の勢いはとんでもなく、大半のスケルトンはその勢いにやられて転ぶか、最低でも動きは止めることが出来る。なんならそのままバラバラにされている個体もいた。

 そうして足が止まったスケルトンを狙ってポチは素早さを活かして、急所へナイフの一撃を食らわせることで1体ずつ倒していく。

 その殲滅速度はリーとジリーをも超えるだろう。


 そしてポチは目に見える範囲のスケルトンを倒したことで一息ついてしまった。

 そのため後ろで剣を振り上げているスケルトンに気づかない。


「ウォーターカッター!」


 ジュシュから放たれたブーメランのような形の水刃がスケルトンを真っ二つに斬る。

 その切れ味はとんでもないようで、スケルトンの骨の切断面は滑らかな線であった。

 ジュシュは性格こそ内気過ぎるところもあるが、魔法の腕に関しては水属性魔法しか使えないことを除いても一級品のようだ。


「ありがとう!」


「い、いえ! 気を抜かず頑張りましょう!」


 ジュシュはポチ相手でもまだ少し緊張しているようだが、そんな中でもコミュニケーションを取りながらまた2人はスケルトンへと向かっていく。



 共に戦うのは初めてなのだが、お互いに足りないところを補い合って連携している。といってもこの2組の連携は対極であるが。



 そして1度は崩れかけた騎士団ではあるが騎士団長の戦いが騎士を奮い立たせ、隊列を組み直すには至らずとも、それぞれが自分が磨いていた剣技でスケルトンを両断している。





 その間も蓮人は魔力を練り続け、また最初のときのように赤いオーラが蓮人の体を覆っている。いや、そのときよりももっと濃密なオーラが立ち上っている。空気が揺らめいているようだ。

 そして蓮人はカッと目を見開く。


「完成だ! 皆離れろ!」


 蓮人はそう声を張り上げて、右腕に左手を添えながら前に突き出す。

 その方向はもちろん黒のローブの方向だ。その向きにいる騎士達はスケルトンを斬り伏せながら急いで離れていく。


 そして、蓮人の目の前にはスケルトンだけとなる。それを確認した蓮人は


「フレイムランス!」


 そう唱えた。

 その瞬間、突き出した右手から巨大な火の槍が生み出され、一直線に飛んで行く。

 その威力はとんでもないもので、進行方向にいたスケルトンは一瞬で跡形もなく消え去った。


 こうして地面に焼け焦げた跡を残した道が出来る。


「行くぞ!」


 蓮人のその声にホワイトストライプスは駆け抜けていく。

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