100 形勢が変わって、異世界へ
ホワイトストライプスは蓮人の攻撃力を活かし、それのフォローを残りの全員で行うことによって驚異の殲滅力を誇っていた。
それに対し、隣で戦っている騎士団は流れるような連携でスケルトンに息をつかせるスキを与えない。前後2列で隊列を組んでいる。それが3セットだ。前1列がスケルトンを攻撃していき、そこで生まれたスキを庇うように後1列が前に出てスイッチし更に攻撃を行っていく。それが何度も続き、騎士団長の判断によって次のセットへ交代する。
それがスケルトンが全滅するまで続いていくだろう。
そしてこの戦法によって敵には攻撃に転じる余裕もなく、見る見る数を減らしていた。
右翼と左翼で戦っている冒険者は、パーティー毎に連携しそれぞれスケルトンの殲滅にあたっている。
やはりCランク以上の冒険者パーティーなだけあって手馴れており危なげなく数を減らしている。
(600体を超えるスケルトンって言われた時はヤバいと思ったが、案外大丈夫そうだな)
スケルトンを斬り伏せながらもサッと周囲の状況を確認した蓮人は何とかなりそうなことに安心した。
しかし、物事はそういった時に進むように出来ているのだろう。
スケルトンの大群の一番奥にいた、黒いローブをスケルトンが杖を掲げた。
その瞬間杖の先からドス黒い光が迸り、辺り一帯を駆け抜けていく。それは蓮人達にはなんとも言えない不快感を与えた。
そして、倒したはずのスケルトンが全て立ち上がり始めた。
厳密に言えば蓮人とオリビアが燃やし尽くして灰になったスケルトンはさすがに復活していないようだが、体を真っ二つに斬られて倒されていたスケルトンは体の部位が全て元通りにくっついて復活していたのだ。
それを見た冒険者達と騎士団に衝撃が走り、攻撃の手が止まってしまう。
そして一気に形勢は逆転する。
騎士団の戦い方は後ろを取られることを想定しておらず、ただひたすらに前方にいる敵だけを驚異的な殲滅力で屠っていき、倒したそれらを踏み越えながら前進していくものだ。
だが、倒したはずのスケルトンが全て復活し立ち上がってきている。ということは、屍を踏み越えて進んでいた以上、騎士団のすぐ後ろ、もしくは現在戦っている1セット目の前列と後列、また休憩中の2セット目や3セット目の間でもスケルトンが復活してきているということだ。
しかも、前方の敵も倒し終えていない以上、挟み撃ちよりもとんでもないことになっている。
こんなことになった以上、休憩や隊列などもはや関係なく、敵味方入り乱れての乱戦となる。
オリビアの近衛騎士団であるだけあって一人ひとりの戦闘力もCランクの冒険者かそれ以上の力はあるので、そんな簡単にはスケルトンに遅れをとることはない。
しかし、味方に武器が当たらないように気を配らねばならず、しかし敵の数は膨大である。しかも味方との連携をとることは出来ず、ただ自分の力のみで戦わなければならない。
これが騎士達の心を蝕み、気力を奪い去っていく。
それと比べると冒険者パーティーはそもそもがパーティー毎に別々で戦っていたので、戦い方に大きな変化はない。
しかし、確実に疲れは溜まってきている。
また、倒したはずのスケルトンが全て復活したのだ。それによる精神的負担もかなり大きく、心は挫けかけてしまう。
そんな中も王都を守るため、必死に武器を振り回して終わりの見えない戦いに挑んでいく。
「諦めるな! この敵の復活も永遠に続くわけがないんだ! 今を耐え凌げばいつか必ず勝機はやってくる!」
騎士団長はそういって騎士達や冒険者達を必死に鼓舞し、自分も剣を振り回してスケルトンを屠り続けていく。
しかし、どれだけ倒してもしばらく経つとひとりでに復活し、また襲いかかってくるのだ。
終わりが全く見えない。
(あの黒いローブをのスケルトンを倒さないと永遠に復活されるのか……一か八かやるしかないか!)
「皆! 俺達は今からあの黒いローブのスケルトンの所にいってさっさと勝負を決めるぞ!
俺が今からその場所への道を作るために魔力を練る、しばらくの間俺の守りを頼む!」
蓮人のその声に全員頷くとどの方位からの攻撃にも対処できるように蓮人を取り囲む。
そうして蓮人は仲間に身を預け、魔力を練ることだけに集中する。
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