第四章ー漆
「王様!大変です!」
「今度はどうした!」
「人質を持ってかれました!」
「何だとぉ!?神出鬼没な奴めぇ...」
(というかあんたの作戦が悪いんだよ)
(誰だよあんなところに人質を置いたのは...)
(はぁ...せめてクレネス様がいてくれたらなぁ...)
「なにをしている!早く次の行動に移らんか!」
「「「はい...」」」
「チッ」
「で...クレネス殿」
「何でしょう?」
「城内の見取り図は出来上がりましたか?」
「はい、おおむねこんなものかと」
こいつは、城内で執政役を務めていた者で、先日一人になって森をさまよっていたところを助け出した。
蒼嬢(優介の彼女)の父親でもあるので、これ幸いと飛び込んできたのだ。
「つきましては、のちの王の座につかせてもらっても...」
「ああ、好きにしろ」
「ありがとうございます!」
「あの...」
「どうした辰也」
「奴を野放しにしておいては...」
「わかっとるわかっとる」
「春屠さん!」
「まあ待て辰也」
「融規さん...」
(・・・)
「えぇ...」
「クックック」
「さすがでございますクレネス様」
「例の件はどうなっている?」
「万事、順調でございます」
「そうか...奴に一泡吹かせる時が来たか」
「はい」
「これからも、頼むぞ」
「もちろんでございます」