第四章ー伍
「う~ん、遅ぇなぁ」
奇襲開始予定時刻から1時間が経過した。
そろそろ連絡が来ると思うのだが。
「来ねぇ...」
何か不具合でも起きたのか? としか考えられない。
「どうした?」
「春屠...二人から連絡が来ねぇ」
「ん...?そりゃおかしいな」
「二人の身に何かあったんだろうか」
「まあまて、焦るな。正面突破は1時間後、それまでのんびり待とう」
「...」
無事でいりゃあいいが...
「まだですか~優介さん~」
「そうグダグダ言うな」
「だってなんでこんなところに入ったんですか~感触が気持ち悪いだけ、うおっ!」
「どうした?」
「いや、でかいネズミがいたんで...」
「まったく。気をつけろ。もうすぐ広いところに出る」
「本当ですかあ?かれこれ1時間...」
「しっ」
ようやく広いところに出た。そこにいたのは...
「「九蘭さん!!」」
「よ、ようやく来てくれた...」
「大丈夫ですか?」
「私は大丈夫だけど...壮人は?」
「正門突破側に配置してますが...」
「...馬鹿」
「?どうしました?」
「ううん、なんでもない。」
...?何かあったのだろうか?
とにもかくにも、俺たちは戻ることにした。
「えぇ...またあのドロドロなとこ通るんですか...」
「なわけないだろう、上を見ろ」
「へ?」
「一部分だけ円形に穴が開いているじゃあないか」
「なるほど...と言いたいところですが...」
「?」
「私と優介さんはいいでしょう。九蘭さん、届きます?あれ」
「うん、絶対無理」
そうか、そうだった...
あの穴までは3m。
俺と辰也なら届くが、九蘭さんは届かない...
「どうすっかな...」