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第四章ー弐
「人質...かぁ」
「もう手が回ってましたか...」
「いやむしろ今更感なのだが」
まあ、優介の言うこともあながち間違ってはない。
ただし、あまりに敵が暇しているもんだから、ついつい油断してしまった。
う~ん、やっぱり俺は集中力が足りんのか?
「一刻も早く連れ戻す必要がありますね」
「どうしようか...」
「...一番簡単なのは人質トレードだな」
「...でも誰にするか...」
「ああ、そのことなんですが」
「なんだ?辰也」
「実はこういう人がいまして...」
辰也の話によると、アンネ貴族の朱城、スパリーテ貴族の蒼城がおり、その娘が最重要人物らしい。
「そりゃまた、なんで?」
「彼女たちにはある電子機器が接続されていて、それをパソコンで読み込むと重要な機密情報が出てくるとか...」
「ふ~ん、でそれを誘拐すればいいわけだ」
「しかし、どうやって?」
「良い手があります。まあ、私に任せてください。」
いったい、この自信はどこからくるのだろうか。
俺は、それが不思議でならなかった。