ゲームスタート
「私が行く」
震える手を上げ泣きながら応える。
「君が来るのか。名前なんて言うの?」
笑顔で質問する殺鬼が怖く、声が小さく震えて何を言ってるのか分からない。
「何言ってるのか分からないのだけど、もう一度はっきりと聞こえるように言ってくれない?じゃないと殺すよ」
殺鬼は耳に手を当て脅しながらもう一度聞き直す。
「私、夜桜 八重」
名前を言うとまた黙り込む。
殺鬼は、名前を聞いて笑顔になると隣の子を見て同じ質問をする。
しかし隣の子は、涙目になって質問に答ずにいると、殺鬼の顔から笑顔が消え手に持つ鉈を振り上げた。
「待って!この子は、妹の霞」
八重が鉈を振り上げた殺鬼の前に手を出し霞を庇う。
しかし殺鬼に笑顔は戻らず、八重に刃を向ける。
「僕は、この子に名前を聞いてるんだ。君に聞いてるわけじゃない。この子に対する質問を君が応えるのは、おかしいだろ?」
「私の名前、夜桜 霞」
今すぐ殺そうとしてた殺鬼に笑顔が戻る。
「最初っから君が素直に応えてくれたら君たちを殺そうとしないで済んだのに」
殺鬼は、立ち上がり鉈を2人の間に投げると後ろの木の壁に刺さり2人の顔にかすれて傷を付ける。
「よしそれじゃあ八重ちゃんだっけ?妹の霞ちゃんにお別れを言って、終わったら僕と一緒に行くよ。」
霞の顔見つめ抱きしめる八重は、信じてると告げ立ち上がろうとするが腰を抜かして立ち上がれなかった。すると殺鬼が八重をお姫様抱っこした。
殺鬼は、八重の顔を見つめ先程まで親を殺され腰を抜かし動けずに泣いていた子供たちと思えずにいた。
「霞ちゃん本当に姉の八重ちゃん救いたいならこの住所を訪ねるといいよ、てか霞ちゃんがそこに訪ねてくれた方が僕は、今後が楽しみだからね」
笑顔で霞に紙切れを渡す。
「これって貴方の仲間とかじゃないよね」
八重が殺鬼の顔を睨むように見つめると殺鬼は、笑顔で応える。
「大丈夫この住所の人は、僕が殺したくても殺せない、僕の天敵と言える人間が住んでるだよ」
楽しそうに話す殺鬼は、親を殺す時と違う顔になってた。
「そろそろ時間か霞ちゃんが僕を倒せると自信がついたら八重ちゃんを助けに来るといいよ」
警察が来る前にその場を立ち去ろうと足を動かし家を出て、外に停めてる車に向う。
助手席に八重を置くと運転席に殺鬼が乗り込みエンジンをかけ車を進める。
会話も無く静かな夜のドライブをしていた。
「今向かってるの、貴方の家なの」
しびれを切らし八重が何処に向かってるのか聞くが殺鬼は、笑顔で何も言わず車を走らせる。
急に睡魔に襲われ眠りにつく八重、殺鬼は後ろから取ったブランケットを八重にかける。
数十分経って目的地ついたのか車が停るが八重は目を覚まさずにいた。
殺鬼は、呆れ多様にため息をつきお姫様抱っこで屋敷の中に連れ込んだ。