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プロローグ
森の獣たちも寝静まった闇の中に焚火のはぜた音が響く。
その火を挟んで二人の人間が座っていた。
「なあ、本当にやるのか?」
「こんな事やりたくないにきまってるだろ! それにやろうって先に言い出したのはウェルじゃないか」
ウェルと呼ばれた黒髪の青年の問いに小柄な金髪の少年が憤慨したように答えた。
「それはそうなんだが。はぁ〜、あの時もう少し周りに気を配っていたらなぁ」
ため息混じりに青年はつぶやいた。
「今さら言ってもしょうがないよ」
「確かにな」
黒髪の青年はそう短く答えると、地面に伏せていたブロードソードを手にとり、目の前で赤々と燃えている薪に灰をかぶせた。
「さて、嫌な事はとっとと済まそうぜ」
火が消えたか確かめている少年の背にそう声を掛けると、彼はそのままスタスタと歩き出した。
「ちょっ、ちょっと待ってよ〜」
少年は慌ててその後を追うのだった。