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作者: 炉谷義露

 最近の話しである。斯くも騒がしいと世情に暗い私へであっても、漫画の著作権に関係為る問題は聞こえて来る。事態が起こって居る場所は日本国であっても、事態を起こした当人が日本国に居なければ違法では無いと云う事であるから、此の国際の時代に於いて何を仰って居るのだろうと思わざるを得ない。例えば他国を爆弾で攻撃為ても、爆弾を撃ち込んだ国家に於いては無罪であるから、攻められた国家は諦める他に無いとでも云おうか、然様な印象を覚える。尤も此れは既う国際で禁止為れて居るのであるから、当然と戦争と認められて、爆弾を撃ち込んだ国家は糾弾為れるのであるけれども。

 果たして私は其の方面に明るくは無いので、国家が戮力為て、斯様な規模の小さい事件へ臨むとは思わない。其処で、私は斯う考えた、児童、生徒、学生に限って漫画を無償で公開出来ないだろうかと。此れは飽く迄も現状を覆し得ないと為た提案であるし、自信が有る決定の一打であるとも思っては居ない。俄かに考え付き、何だか書けそうだなと思ったので書く迄である。

 私の思考は斯うだ。現状に於いて本来は有償である漫画が流布為れて居る。此れを閲覧為る事は法律に背かない、倫理の問題である。然し乍ら人間は精神と云う物を持って居るので、演繹為れば其れを潔しとは済まさないであろう。少なくとも日本の倫理や社会に倣って、有償の漫画を求める事と為る。

 此の環境の最中で、其れでも無償を求める人間、或いは求めざるを得ない人間は即ち児童、生徒、学生なのでは無いかと私は思い当たった。逐一、三個の名詞を並べては煩わしいので、以下は一括為て学徒と呼ぶ。学徒は学問に専心為る者である。社会で労働為、賃金を得る人種とは違い、対価を払う許りで学業に勤しむのである。両親や行政に工面為て貰い、強いて勉ぶのであるから、僅かな憩いも欲しかろうと私は思う。然し乍ら、学徒は往時より金銭に貧しいのである。対価を払って学ぶ許りであるから、資金を得られる側面が無い。然様な学徒が倫理に忤うと分かって居乍らも、勉学に努めた自身への報償と為て、流布為れた漫画を読んで終うのである。空腹で敵わないから海岸に打ち上げられた雑魚を食って終う事と違いは無いのである。

 上記の貧しい学徒へ、本来は売る可き魚介を分けて遣れないかと云う試みを私は提案為る。此の貧しい学徒と云うのは侮蔑或いは嘲弄為て呼ぶのでは無く、資金を得る時間や余裕も無い程に勤勉な学徒と云う意義であり、却って褒めてすら居ると覚えて貰いたい。何も然様な腐って居るかも知れない、本来は食えた魚種では無いかも知れない、何処の海域から流れ着いたかも分からない物を廉恥も衆目も耐え忍んで食う事は無いと、漁師が言って遣れば良い。只でさえ青少年は減って居るのであるから、希望を蓄えた貧しい学徒は増えて良いのである。

 尤も私説に於いて無視為て居るのは、自身を貧しい学徒であると偽る人種である。斯う云った人種を廃絶為る事は困難であるから殆ど触れないけれども、彼れは致し方が無い。貧しい学徒と見謝る程に羸痩の肉体と未熟の顔貌を曝して、場合に因っては其れらしい紛いの制服をも纏って、卑猥な神経を隠伏為せて貧しい学徒へ紛れるのである。吾人に見破れよう筈も無いけれども、然様な変装を遂げたのであるから、却って見上げ果てた者であろう。時々に貧しい学徒を掻き分け踏み越えてでも旨い魚介を無償で得んと為る人間も居るけれども、然う云う類いは棍棒か何かで叩き付ければ存外に脆く昏倒為る者である。

 又た、対価を払って買った魚介に付いても申し上げたい事は色々と有るが、其れは関係が無いので言わないで置く事と為る。

 諸所が未熟であるが、飽きたので今回は既う擱筆為る。

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