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なぜか混ざる水と油のゆりっぷる  作者: 壊れ始めたラジオ
それぞれの空間〜Give me your voice!〜
5/30

変「電話×中の人=ベストマッチ!」

 網橋理子あみはしりこは、自宅の、それも自室でこそ、自身の趣味を開放する。


「空に瞬くスター・ライト♪ 大地広がるフラワー♪ 貴女と私で探したいユートピア~♪」


 そんな彼女の趣味とは、ネット声優。普段より無報酬で同人ゲームや同人アニメの声優を請け負っているほか、自身でネットラジオやゲーム実況動画、歌唱動画などを投稿している。今もまさに、その歌唱動画に使う歌声をお気に入りのコンデンサーマイクで収録していた。


 歌も最後のサビに突入し、気持ちが最高潮になった、そんなときだった。

 彼女の携帯電話が大きな音で鳴り響いたのは。


「空に瞬くスt………………もしもし柑奈かんな? なに?」

理子りこ? ……今、大丈夫?』

「うーん、まあ……」

『ダメ……だった?』

「いや……今ちょうど録音してて……まあ、いいよ。着信音切り忘れた私が悪いんだし。あとでそのフレーズを録り直せばいいだけだから」

『そう? ならいいんだけど』

「それで? なんの用事?」

『無いわよ用事なんて』

「……は?」

『単に、理子りこの声が聞きたくなって電話したのよ? 悪い?』

「……」

『なに、不満なの?』

「別にそんなんじゃ……」

『特に用事は無くても、恋人の声が無性に聞きたくなる時が、女の子にはあるのよ』

「私だって女の子なんだけど……。というか声を聞くだけなら私の動画を観てくれたらいくらでも…………」

『不特定多数に向けた声じゃなくて、アタシに向けた声が聞きたかったのよ! 生の! 声が!』

「……はいはい」

『はいはいって……それが恋人にかける言葉!?』

「…………」

『ちょっと! 聞いてるの!?』

「……めんどくさ」

『はぁ!? もう一回言ってみなさいよ!』

「……んんっ! ……………………『ピ~ン……クマっ!』」

『!?』


 咳払いを一つしたあと、彼女はそれまでの気だるそうな声を一変させた。


「『やあ! ボクの名前はピンクマ! 柑奈かんなちゃん、今日はどうしたんだベアー?』」

『じ、実はね、ピンクマ……。恋人がね……構ってくれないの……』


 説明しなければならない。

 何を隠そう、網橋理子あみはしりこ秋村柑奈あきむらかんなの大好きなキャラ、ピンクマのキャラクターボイスを務めているのだ。別の言い方をすると、いわゆる「中の人」である。

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