転「教師×執事=ベストマッチ!」
「……あ、倉田先生、ちょっとよろしいですか」
「……石見先生」
「東雲さん……ああ、お姉さんの方……が、転んで窓ガラスを割ったそうです」
「……見ておきます」
「それと、先生の妹さんが理科室でガスバーナーを暴走させてしまったそうです」
「…………見ておきます」
「最後にひとつ。……緒久間先生が、体育の授業中にバレーボールを体育館の灯りに当てて壊してしまったそうです」
「………………見ておきます」
「はい、よろしくお願いします」
家庭科教師、石見翡翠には、教師以外の顔がある。
それは……。
◆
「……そんなにお尻を突き出して……。わたくしのレズ心に響きますよ、お嬢様」
私、厳島映の執事である。
「しーっ! 今、絶賛覗き中ですのよ翡翠。少し静かにしてくださらない?」
「それは失礼しました、お嬢様。……ところで、その据え膳はありがたく頂戴してもよろしいのですか?」
「ダメに決まっていますわ! 据えていないし、たとえ据えていたとしてもそれは秋村柑奈の据え膳ですわ! この体勢は、壁の陰から二人を覗くために仕方なくとっているんですのよ!」
「そうでしたか」
「……で? なにしに来たんですの?」
「お嬢様の昨日の小テストの結果があまり芳しくなかったので………………今から補習を受けていただこうかと」
「……え?」
「ささ、行きますよお嬢様」
「い、嫌ですわ……嫌ですわー!」
鬼のような執事である。