学「班行動×ハプニング=ベストマッチ!」
「みんな、こーんにーちはー!」
『こんにちはー!』
説明しよう。
大勢の少年少女に向かって叫ぶこの少女、網橋理子は、修学旅行でたまたま居合わせただけの女子中学生である。
◆
「えぇ!? インフルエンザで声が出ない!? じゃあ、会場のお姉さんはどうするのさ!」
私は、ヒーローショーのいわゆる「会場のお姉さん」のアルバイトをしている女子大生、白神レミ。
そんな私は、ショーの当日にインフルエンザにかかるという失態を犯してしまった。
「ゴホゴホ! すみません、チーフ。なんとか誤魔化して出ようと思ったんですけど……」
「すみませんって言われてもなぁ……。まあ無理して周りに伝染されても困るし。……開演まであと十分。代役が見つかるかどうか…………」
チーフが頭を抱えているとき、スタッフテントの外から聞いたことのある声が聞こえてきた。
『ねー。お昼食べたあとどうするー?』
『ここのデパートの屋上の出店、どこも美味しかったー!』
『どうする……って、ほら、このあとは予定した通り、お寺を回って、集合場所のホテルに行くって決めてたじゃない』
『そんな堅苦しいのやめて、パンケーキとか食べに行こうよー』
『予定は予定よ、まったく……。ほら、理子も携帯ばかりいじっていないで、班員としてちゃんと会話に参加して』
『ん』
『……聞いてる?』
『…………ん? ごめんなにも聞いてなかった』
『『『……はぁ………………』』』
テントの隙間から外を覗くと、そこにはどこかの学校の制服を着た四人の女子が白いテーブルを囲んでなにやら話し込んでいた。
私はなんのためらいもなく、テントから出て四人グループのうちの一人に話しかけた。
「ゴホゴホっ! ……すみません。もしかして……Nebburicoさんですか? アマチュア声優の」