SCENE 02:コスプレ少女降臨 (つづき)
一緒に蹴ったことで友情が芽生えたのか、真奈美と凜はまるで姉妹のように手をつないで歩いている。
「ありがとう。ここでいいよ」
ここは真奈美のアパートの前。念のため、ここまで送ってきたのだ。
「ユウジあとよろしくね。凜ちゃん、ユウジに襲われないようにね」
「おいおい……」
「はーい。大丈夫大丈夫ー」
と、凜は真奈美のほうを見上げて、にかっと笑った。
「あ……まあ、青海苔付けてれば大丈夫かもね、魔除け魔除け、ぷ」
真奈美はごきげんな様子で走り去った。凛はしゃがみこんで悔しがっている。
わずか五分の……薄っぺらい友情だった。
「ねえねえユウ君」
「だからそのユウ君って――」
「天使の輪っか、つけたことある?」
「ねーよ。――ていうか何だよ、さっきのイリュージョン。どうせヤラセだろ? いや、グルだろ。種明かしはしなくていいから。そういうの聞いてもわかんねーし、興味ねーし」
「ふーん……」
凛のいたずらな瞳がちりりと光った。
「……」
「……」
「なんだよ!」
「えいっ」
「わ、やめっ、なにすんだ」
「いっちょ上がりー」
ユウジの頭の上には、天使の輪っかがついていた。
「これでおあいこね」
「意味わかんねー」
「あ、それしばらくは、はずせないから」
「はあ?」
「じゃあね、おやすみなさい、バイバイ、らぶりー、ユウ君」
と、ウィンクをして、凛は走り去った。
その夜、ユウジは頭がまぶしくて眠れなかった。
「……アイツ絶対、ぶっ殺す」