表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/3

支配された勝利

「負けた。整列や」

小5になって、新たな転機が訪れた。

私の実力を評価してくれる人が現れた。私はそれが純粋に嬉しかったし、大きな大会にでるべきだと勧められてやる気がみなぎっていた。しかし、そんな気持ちすらもすぐに0にされてしまった。

試合への申し込みすら一蹴されてしまった。そこまで私の邪魔をしたいのかと、怒りを通り越してあきれた。


「出てなんの意味がある」


そんな一言に、私の未来すべてを変えられてしまった。


「私は何か悪いことをしたのだろうか。私はまだ弱いままだったのか。」


あの評価は虚像か。それとも幻か

評価してくれた人物も説得はしてくれた。何度も何度も。それも無駄だった。逆に申し訳なかった

私が完全に折れる1年前の出来事だった。このあとくらいからだろうか、『中学受験』という一つの言葉がよく囁かれるようになった。これが、私の生活を大きく変えることになったし、私自身を変えることになった。


「貧乏を抜け出すには学問しかない。悪循環だけは繰り返すべきではない」


学のない母が口にした言葉だ。正論だと思う


でも、それは柔道から目を反らすことになる一歩だった。もう何を考えればいいのか、わからなくなっていった。大好きで仕方ないのに、後輩たちがたくさん支えてくれたのに

さらに私を絶望させたのはそれだけじゃなかった。その年にでた大会、長らくでていなかった団体戦だった。私は男子に混じって副将で出場した。

先鋒次鋒と低学年の女の子は男子に負けてしまった。二人とも悔しそうだった。中堅の男子は快勝した。副将の私も男子相手に快勝。気分がよくて仕方なかった。大将が引き分け。つまり代表戦にもつれ込んだ。

代表戦にでる人間はくじ引きで選ばれた。大将はくじ運がよくて、こちらが相手を選べた。中堅が代表戦にだされた。勝った人間を出そうという算段だろう。これは引き分けた。次に選ばれたのは私。体力のない私だったため防御で手一杯だった。これも引き分け。

次は誰だろうと思った。しかし、大将は首を振った。意味がわからなくて首を傾げたが、すぐに説明された。どうやら最後はくじ運が悪かったというのは理解できた、しかし、その先が、


「負けた。整列や」


なんで?

最初に思ったのはそれだった。簡潔に言うと、「くじ引きで勝敗が決まった」。

理由はあとになってわかったが、時間短縮のためだった。なんて理不尽で理屈の通らない話なんだろうと思った。選手の気持ちより、時間の方が重いのか


初めて大人に絶望したのは、そのときだった。

中学生になっても、理不尽な世界は続く。勝ちがすべて支配された世の中が

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ