表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ねた的な小説  作者:
25/28

背中合わせのきみ 小話1

短編の背中合わせの君小話です。短編の方を読んでた方がわかりやすいです。

ある日、突然に誰もが思っていた疑問は放たれた。


「支、あんた本当に無表情よね」


何の前触れもなく友人がそんなことを聞いてきた。その口調があまりにもしみじみと実感したと言わんばかりのもので支は少し眉をあげた。


「突拍子のない質問ですね」


美作(みまさか) (ささえ)はもはや彼女を表すのに必要不可欠となっている無表情な顔で問い返す。ヒュンと耳元で風を切る音がしたが支も友人も気にせず会話を続行している。


「いや、何かふと思ったんだけど結構長い付き合いなのにあんたの笑顔どころか表情が崩れたところすら碌に記憶にないなと」


付き合いが長いと無表情の中にある微かな感情の動きを読むことが可能なのだが一見さんには凍り付いた無表情にしか見えない。

そこそこ整った顔立ちなのに無表情と抑揚のない丁寧口調が標準化しているため冷たくみえ、十代とは思えない異様な威圧感を醸し出しているから支は他人から敬遠される。人によっては意味もなく怖れて近寄らない。支を知ればそんなに怖い人間ではないとすぐにわかるというのに。


損してる、とは彼女の友人一同の総意である。


「喜怒哀楽ぐらい私にもあります」


「あっても無表情が鉄壁すぎで伝わりづらいのよ。あんたの場合は」


「…………」


再び風を切る音。黙った支に友人は「あ、ちょっとむっとしたでしょ」とはたからみるとサッパリ読み取れない感情の動きを正確に読み取りニシシと笑う。

支は小さく息を吐きながら顔面を狙って突き出された拳を逆に掴むと相手の勢いを利用してそのまま地面に叩きつけた。


「おみごと」


パチパチと友人が拍手で支を讃える。

そんな彼女の足下にも柄の悪い少年が目を回して倒れている。


「いやー悪いわね。あたしの事情に巻き込んじゃって」


中学時代に喧嘩の強さで不良達の間で伝説になっているらしい友人は更生した後も名をあげたい不良達に襲撃を受けることがある。いくら更生したからといって黙ってやられたり逃げたりするのが性に合わない友人は襲撃者はきっちり締め上げ、友人に手練れと認識されているらしい支もそれに巻き込まれることが多々あった。


「まあ、華恵達が巻き込まれるより考えたら私が巻き込まれる方が対処できますから」


慣れた手つきで伸びた少年達を一箇所に集める。怪我の有無を確かめるとくるりと支の方に顔を向ける。


「さて、オイタをした悪戯小僧達に説教をくれてやらないとねぇ」


笑顔が怖い。

彼女の「説教」を受ける少年達が起きていたら真っ先に逃げ出しそうな笑顔の友人に支は程々にと釘をさす。


「ほどほどに」


止める気はさらさらない。


そんな中学時代に比類なき強さで伝説になった元番長な友人と支のありふれた(?)放課後の一幕。







この後帰宅した支が友人の笑わないと言う言葉に触発され組員達に笑いかけ大騒動が起きました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ