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神は大体土壇場で来る


私の人生、もうアカン!でできている。

そしてそのたび、ギリギリで【神】がくる。



例えば


陸上競技に打ち込んでいた頃。


20歳の私は、椎間板ヘルニアになった。

痛くて、辛くて。でも走ることがやめられない。

最後の試合は国立競技場。でもその時、私の左足は、もう言うことを聞かなくなっていた。

暗い競技場の隅っこで、泣いた。声を抑えて泣いた。


帰ってきてすぐ病院に行く。即入院。

手術が決まったのは、成人式の直前だった。

泣いた。ベッドで。布団を被って泣いた。


入院から5か月、傷心のまま社会復帰した私に、突然声がかかった。

「ちょっとやってくれへんか?」

なんだそりゃ?


突然降りてきた「組合活動」という、よくわからんものに、結局私はのめり込んだ。


そして深い喪失感から、救われた。



惣菜屋をやってる頃。


私は、毎晩食卓で売上を計算する。

ビール片手に、ボンヤリとした頭で帳簿をつける。

明日の釣り銭を数える。

ここに生活費も仕入れ費も入っている。

でも、絶対仕入れ分は確保しないと。店回さないと生活が回らない。


まずいなぁー。国民健康保険代。

高すぎる。キツイ。今、キツイ。でも払わんと子供が医者に行けんようになるー。


翌日、

昼の客が一息ついた時、電話が鳴った。

「オードブル100人前。できますか?」

やる!絶対にやる!


突然の「大口注文」。

手に余る仕事量。

娘2人、総動員で必死でこなす。


そして、めでたく払い込む。



私は、「組合活動」も「大口注文」も、同じ【神】と呼ぶ。

全く信仰心などは持っていないが、【神】と呼ぶ。


ありがとうございます。

感謝します。

それから、又お願いします。



【神】は、いつもギリギリまで頑張った後に、そろりと降り立つ。

なかなかに厳しいヤツだ。


だからそのたび、私はまた、少し強くなる。




動物園で迷子になっていた私に、また【神】は、そっと降りてきた。



どうよ。この男。




おまけ


組合活動って何してた?



1980年代――男女雇用機会均衡法の、まだ夜明け前。


当時の組合には、

メーデーの空気が、まだ残っていました。


その下部組織で、

機関誌、ダンスパーティー、数百人の集団キャンプ。

一見すると、ただ遊んでいる集団ですね。


で、最後の〆は、決まって――掛け合いコール。


拳を突き上げ、スローガンを何度も何度も叫び合う。

やり手の男子は声が枯らし、普通の女子はちょっと控えめ。


でも私は、

本来、熱血体育会系。


男並みの声量と、握力40の拳で、

一晩中でも叫べるツワモノなんです♥



そこで私は、人をまとめる面白さを知り、

人前に立つ度胸を覚えました。


それまで、走るだけだった私に、

可能性というものを教え、

平等の中に潜む理不尽を、そっと見せてくれた場所。



もし、あの三年がなかったら。


今の私は、たぶんパパに出会えなかったでしょう。


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