『The風鈴火山2026』実況
「本日はこちらのゲーム、『The風鈴火山2026』を実況したいと思います」
「ゲームって、さっきから画面に風鈴が映ってるこれのこと?」
「その通りです。アキさん、このゲームの90パーセントを理解しましたね」
「ほぼすべてじゃん! スタート画面じゃないんかい」
「本編です」
「デスクトップの背景かな?」
「何を言ってるんですかアキさん。れっきとしたゲームですよ。ほらほら、こうやってマイクに息を吹きかけると、風が吹いてチリンチリンと音が鳴るんです」
「なんでマイクなんだよ。せめてボタンで反応してよ。いやそれでも意味わかんないけど。てかこんなのに需要とかあるの?」
「ありますって。ほら、ひたすら焚き火を流すだけの動画とかあるじゃないですか。似たようなものですよ。現代社会の忙しなさを忘れて心を落ち着かせ、風流を感じる。それってまさに、贅沢な時間の使い方じゃあないですか」
「確かに焚き火動画とかは人気だよね。正直私には何がいいかわかんないけど、実際自分でやろうと思ったら場所も限られるし、準備や後片付けも大変だから、動画で気軽に癒しを得られるのは現代にあってるのかも」
「風鈴なら本物買ってきた方が安いですけどね」
「台無しじゃん! 私のフォロー。縁側とかマンションにはないし、とかちょっと思ったけど。てかこの背景はどうなの? コンクリの壁に風鈴って、風情がなくない?」
「そこはほら、実績で解除されるんです。よくあるじゃないですか。風鈴を100回鳴らすとか、プレイ時間何時間以上とか。それで少しずつ背景や風鈴の種類が増えていくんですよ」
「いや最初から全部選べるようにしておけよ」
「ちなみにうぷ主は全実績解除に8時間かかったそうですよ」
「随分と贅沢な時間の使い方をしたなぁ」
「一番面倒だったのは5時間操作せずに放置する『寝落ち?』の実績でした」
「認めてるじゃん! 作者つまんないって認めてるじゃん!」
「ですが報酬は豪華です。見てくださいこの背景。煮えたぎるマグマの表現が秀逸で画面越しなのに熱を感じそうになる、素晴らしい出来栄えの火山ですよ」
「タイトル回収! 出オチネタだと思ってたタイトルをここで回収するん!?」
「はい。おめでとうございますアキさん。これであなたは、このゲームを100パーセント理解しましたね」




