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第8話:食の探求!洞窟に響く本格石釜の槌音

話の流れに矛盾があったので、修正しました。


翌朝。ユウキは、洞窟の奥にある水源から汲んできた清らかな水で顔を洗った。ひんやりとした水が、まだ少し残る眠気を吹き飛ばす。隣でルークが、ユウキの朝食の準備を待つかのように、チョコンと座って見上げている。洞窟に拠点を移し、塩という味の決め手も手に入れたことで、ユウキの心には新たな余裕と、尽きることのない「食」への探求心が芽生えていた。


「よし、ルーク! 今日も一日、美味いもん作るぞ!」


優しく頭を撫でてやると、ルークは「ワフッ!」と一声、元気よく吠えてみせた。その愛らしい仕草に、ユウキの顔も自然と緩む。この「嘆きの森」での日々は、ルークというかけがえのない相棒と、そして「食」への飽くなき探求心によって、ますます充実したものになっていた。


今日一日でクラフトできるものは一つだけ。塩が手に入ったことで、料理の味付けは完璧になった。黒曜石のフライパンや石の出刃包丁、鍋といった基本の調理器具も揃っている。しかし、ユウキの頭の中には、**フライパンや鍋だけでは作れる料理に限界がある**という課題があった。煮る、焼くだけでなく、**蒸す、そして「焼く」を極める**ことで、料理の幅を飛躍的に広げたい。さらに、この異世界で生き抜くためには、**一度に大量の食材を調理し、保存食を作る**体制を確立することも急務だ。熱源を囲んで食事ができるような、中心となる場所も欲しい。


「よし、今日のクラフトは……**『大型の石釜(オーブン機能付き)』**に決めた!」


これで、煮込み料理はもちろん、パンを焼いたり、肉の塊を丸ごとローストしたりと、料理の幅が飛躍的に広がるだろう。特に、パンは貴重な炭水化物源となるし、ロースト肉は保存食としても優秀だ。素材は、洞窟内に豊富にある、熱に強く耐久性のある石材と、熱を閉じ込めるための粘土質の土を使う。


早速、クラフトに取り掛かる。洞窟の奥、水源にほど近い、比較的平坦で広い場所を選定した。ここなら煙も外に排出しやすく、熱効率も良いだろう。まず、石の出刃包丁を使い、採集してきた硬質な石材を丁寧に加工していく。石と石を組み合わせ、釜の土台と壁面を築き上げる。トントン、ガツン、という石を加工する音が、洞窟内に響き渡る。


脳内で「クラフト:**大型の石釜(オーブン機能付き)**」の文字が浮かび上がり、ユウキの魔力が素材に流れ込んでいく。石材が正確に組み合わされ、アーチ状の天井が形成される。粘土質の土は熱を加えられ、隙間を埋めるように固まっていく。まるで巨人が積み木で遊ぶかのように、ユウキのゴツい手の中で、巨大な石の構造物が形を成していく。やがて、光が収まると、ユウキの背丈ほどの高さを持つ、堂々たる**大型の石釜**が洞窟の一角に鎮座していた。内部には熱が均一に回るよう設計されたオーブン室と、その下に薪をくべる焚口がある。


「うおお! できた! これで本格的な調理ができるぞ!」


ユウキは興奮して、出来上がった石釜を眺めた。これで、洞窟に本格的な調理設備ができたことで、ここが紛れもない「家」へと進化していく実感があった。


早速、石釜に火を入れ、熱が内部に均一に回るのを待つ。熱源は森で集めた乾燥した木材だ。パチパチと薪が燃え、石釜の内部がじわじわと温まっていく。その熱が、洞窟全体のひんやりとした空気を、じんわりと温め始める。


今日の食材は、ルークが見つけてきた根菜と、昨日捕獲した小動物の肉だ。石の出刃包丁で肉を大きな塊のまま下処理し、万能調味料の塩を擦り込む。根菜も皮をむき、適当な大きさに切って準備する。


熱が十分に回った石釜に、肉と根菜を入れ、扉を閉める。オーブン機能付きの石釜は、フライパンや鍋とは違い、じっくりと時間をかけて食材に熱を通す。その間、ユウキはルークと水源の水を汲みに行ったり、森の食材を探したりと、時間を有効に使うことができた。


数時間後、石釜の扉を開けると、中から香ばしい匂いが立ち上ってきた。肉はジューシーに、根菜はホクホクに焼き上がっている。表面はこんがりと焼き色がつき、見るからに食欲をそそる。


「うわぁ……美味そう!」


ユウキは出来上がったローストミートと焼き野菜を木の皿に盛り付けた。洞窟の奥には、焚き火の炎とは異なる、石釜から放たれる安定した熱と光が、暖かな食卓の空間を創り出す。


ルークも、その香りに我慢できないといった様子で、キラキラした青い目で料理を見つめている。一口食べると、肉は柔らかく、口の中でとろけるようだった。根菜は甘みが凝縮され、塩味とのバランスが絶妙だ。ルークにも肉を分け与える。ルークは熱さを気にせず、夢中になって平らげた。そして、満足そうにユウキの顔を見上げ、「ワフッ!」と力強く吠えた。


石釜の完成と、本格的な調理の成功は、ユウキの異世界生活に大きな自信を与えた。これで食料の確保だけでなく、調理の幅も大きく広がり、冬への備えも格段に進んだと言える。この洞窟は、まさに「食の楽園」へと変わりつつあった。


一日の終わりに、石釜から放出される穏やかな熱を感じながら、ルークの頭を撫でる。次は何をクラフトしようかと考える。本格的な調理設備ができた今、**一度に大量の調理が可能になったことで、増えた食料を効率的に保存し、来るべき冬に備える**必要性を強く感じていた。


「よし、明日は、この洞窟での食料管理を盤石にするための、あれを作るぞ!」


次なるクラフトに期待を膨らませ、ユウキは静かに目を閉じた。


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### 連載スケジュールについて


**本日(7月26日)と明日(7月27日)で、初回として各日10話ずつ、一挙に公開いたします!**


その後は、**平日(月~金)は朝と晩に1話ずつ**、そして**週末(土~日)は朝・昼・晩に1話ずつ**公開していく予定です。


読者の皆さんのニーズや反響があれば、公開ペースを増やすことも検討してまいりますので、応援よろしくお願いします!


おっさん・ユウキとルークの異世界開拓記、ぜひお楽しみください!


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